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藤原芽子選手(右)に続いてプロボクサーとなった長男の勇生選手。母子で飛躍を誓う=神戸市東灘区、真正ボクシングジム
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藤原芽子選手(右)に続いてプロボクサーとなった長男の勇生選手。母子で飛躍を誓う=神戸市東灘区、真正ボクシングジム
東洋太平洋王者として初防衛戦に挑み、勝利した藤原芽子選手=2018年12月、大阪市のエディオンアリーナ大阪
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東洋太平洋王者として初防衛戦に挑み、勝利した藤原芽子選手=2018年12月、大阪市のエディオンアリーナ大阪
サンドバッグ打ちに励む藤原勇生選手。今夏以降のプロデビューを目指す=神戸市東灘区、真正ボクシングジム
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サンドバッグ打ちに励む藤原勇生選手。今夏以降のプロデビューを目指す=神戸市東灘区、真正ボクシングジム

 子は親の背中を見て育つというが、プロスポーツの世界、それも格闘技のボクシングで親子が同時に現役選手として活動するとなると、ハードルはぐっと上がる。今年、神戸市兵庫区に「母子プロボクサー」が誕生した。どんないきさつがあったのだろう。2人が練習する神戸のジムを訪ねた。

■シングルマザーの日々に

 母は東洋太平洋女子フェザー級王者の藤原芽子(わかこ)選手(41)で、長男の大阪経済大1年、勇生(としき)選手(19)は1月15日のプロテストに合格したばかりだ。

 芽子選手は闘牛で知られる鹿児島・徳之島に生まれ、神戸市長田区で育った。市立須磨高(現須磨翔風高)を卒業後に結婚。32歳の頃に離婚し、シングルマザーとなった。

 一人で長女、長男、次女を日々世話することになり「3人を育てていく自信が欲しい」と感じた。

 思い立ったのはプロボクサーになること。当時、エクササイズで利用していた真正ジム(神戸市)で練習ペースを毎日に切り替え、2014年、テストに合格した。

 パンチの力強さと勝負度胸を生かし、18年には日本フェザー級王座決定戦を制覇。東洋太平洋王座も獲得するなど飛躍を遂げた。

■小学5年で見たデビュー戦、ダウンした母に

 母がこれまでリングに立った16試合のうち、15戦を勇生選手は現地で観戦。小学5年で母のデビュー戦を見た時には、ダウンを喫する姿に心配にもなった。

 しかし、家事に育児、仕事、競技とフル回転の生き方に「なかなかできない。練習への姿勢も、気合が入っていてすごい」と次第に尊敬の念が芽生えてきた。

 「リングに懸ける姿がかっこいい」。息子も神戸北高1年の時、本格的に真正ジムでボクシングを始めた。プロとして試合に出たい思いが膨らみ、テスト受験を母に相談した。

 母は驚いたというが「過酷さは私を見て知っているだろうし、気持ちも固めているはず」と決意を受け止め、息子の実戦練習の動画を見ては助言を重ねてきた。

■「子どもに何かを望むことはない」

 息子は大学の授業やアルバイトの傍らで週5日練習に打ち込み、プロテストはスーパーミドル級で挑戦した。182センチの長身から鋭いジャブを放ち、打ち終わりの防御など基本動作も徹底。合格の知らせが舞い込んだ。

 母は「穏やかな巨人。きれいにワンツーを打つ」と息子を評しつつ「今後どうなってほしいとか、子どもに何かを望むことはない。この世界に入ったからこその出会いや経験ができれば、きっと楽しいと思う」とエールを送る。そして、自身の目標は「世界チャンピオン」と揺るがない。

 息子は、今夏以降にウエルター級あたりでプロデビュー戦を迎える見通しで「とにかく試合に勝ちたい」とうなずく。日本や東洋太平洋のベルトを巻いた母を手本に、厳しい生存競争を生き抜く。

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