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子どもたちとボールを蹴り合う岡崎慎司(左)。子どもから若手まで海外挑戦を後押しする=2022年6月、神戸市西区のバサラヴィレッジグリーン
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子どもたちとボールを蹴り合う岡崎慎司(左)。子どもから若手まで海外挑戦を後押しする=2022年6月、神戸市西区のバサラヴィレッジグリーン
岡崎慎司が運営法人の理事を務めるFCバサラ兵庫とウエスカの協定式。法人代表理事の岡良一さん(右)が出席した(一般社団法人マイスター提供)
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岡崎慎司が運営法人の理事を務めるFCバサラ兵庫とウエスカの協定式。法人代表理事の岡良一さん(右)が出席した(一般社団法人マイスター提供)
ウェステルロー戦の前半、競り合うシントトロイデンの岡崎慎司(右)=シントトロイデン(共同)
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ウェステルロー戦の前半、競り合うシントトロイデンの岡崎慎司(右)=シントトロイデン(共同)

 サッカーの元日本代表FW岡崎慎司(36)=シントトロイデン、兵庫県宝塚市出身=が、若手の海外挑戦を促す取り組みを始めた。1月、自身が運営法人の理事を務める関西リーグ1部のFCバサラ兵庫と、スペイン時代の古巣ウエスカが協定に調印。今後、日本人選手を送り出して現地のプロ予備軍と新チームを立ち上げる。計画を語る岡崎には、背中を押す優しさの中に競争を生き抜く覚悟を問う厳しさもある。

■「サッカーが、クラブができることは何か」

 日本代表歴代3位の得点数を誇るストライカーとウエスカの関係は2019年に始まった。当時2部のクラブに加わり、チーム最多の12ゴールでリーグ優勝と1部昇格に貢献。2シーズン在籍した。

 協定のきっかけは20年春から流行した新型コロナウイルスだった。渡航制限によって国境を越えた交流が途絶え、岡崎は「サッカーが、クラブができることは何か。兵庫とウエスカをつなぎ、お互いがいい感じになれたらいいね」と、親しいウエスカ職員に提案したところ話が大きく発展。退団後も相談を続け、手を結ぶ内容を固めていった。

 両地域の企業交流など経済項目も盛り込む一方、岡崎は若者がチャレンジできる機会にこだわった。

 新チームでは、日本で選抜した高卒や大卒の選手と現地の有望株を組ませる。実力が認められれば、岡崎が所属したトップチームに続くウエスカBへの昇格などプロの道が開けてくる。

 岡崎は「ウエスカにダイレクトで行ける。それは一つのチャンス」と話す。

■厳しさに突っ込め

 一方で、岡崎は応募してくる選手の心構えを見定めたいという。

 「海外に来るということは可能性が増えるけど競争はもっと増える。言葉、文化も違う。でも考えが甘く、『合わなかった』で終わる選手や留学生をたくさん見てきた。厳しさに突っ込む気持ちは自分でつくるしかない。本当にそこが重要なんです」

 岡崎自身は08年夏に腹が決まったという。北京五輪に出場し、予選リーグ3戦全敗の現実に打ちのめされた。

 「ヨーロッパを日常にしないと活躍できないと思った。プレミアリーグ(イングランド)とかをテレビで見ていたけど(海外移籍と)結びついてなかった。あの悔しい思いが完全に結びつけさせた」

 Jリーグで結果を残し、11年にドイツのシュツットガルトへ。欧州生活は現在のベルギーで13年目となり、ワールドカップ(W杯)には18年ロシア大会まで3大会連続で出場した。

■人生をかけて導く

 岡崎はなぜ、そこまでして若者に尽くすのか。「たくさんの人に支えられたから」。真っすぐな動機が今回の協定を生み、温かいまなざしは古里のサッカー少年にも向けられる。

 3月27日から1週間、選考で選ばれた兵庫県内の小学4、5年生を送り込み、ウエスカの育成部門で練習してもらう。山岳エリアにある現地の自然や文化に触れる時間もつくり、「日本の当たり前が海外では当たり前じゃないって知るだけで変わる」と期待する。

 「協定はきっかけ。海外とのつながりを身近にする努力を僕は生涯をかけてしたい」。後進を思い、ウエスカ以外にもルートを増やす活動を続けるという。

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