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WBCで要所を無失点に抑え、侍ジャパンの優勝に貢献した大勢
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WBCで要所を無失点に抑え、侍ジャパンの優勝に貢献した大勢

 日本がワールド・ベースボール・クラシック(WBC)を3大会ぶりに制覇した。野球の本場、米国を下しての世界一。それに自分の息子が貢献した。「何せ、凄い」。決勝の七回、兵庫県多可町出身の大勢(本名・翁田大勢、巨人)が無失点に封じた姿に、父八寿男(やすお)さん(55)はうなるしかなかった。

 決勝があった22日午前は仕事で外回りだった。「投げるところと最後(優勝の瞬間)だけは」と車を止め、中継を映したスマートフォンの画面を食い入るように見つめた。

 大勢は2点リードの七回に登板。先頭への四球と左前打で無死一、二塁のピンチを背負い、メジャーリーグを代表する超大物、トラウトを迎えたが、動じる様子はなかった。153キロの剛球で右飛に打ち取ると、続いて昨季35本塁打のゴールドシュミットを併殺打に仕留めた。

 直後、父は「ヨッシャー」とほえた。世界一が決まると、LINE(ライン)を開き、「ナイスピ(素晴らしい投球)」に加えて、「良かったな。おめでとう」と祝福した。

     ◇

 八寿男さんは3きょうだいの末っ子の大勢の苦悩に触れてきた。

 兵庫・西脇工高では最速147キロのエースとして活躍し、プロ志望届を出したが、指名から漏れた。4年後の実現を目指して関西国際大(三木市)に進み、現在のフォームに改造したが、4年春に右肘を疲労骨折。さすがの八寿男さんも、どう言葉をかけるか迷っていたところ、珍しく電話がかかってきたという。

 「絶対にあきらめへん。(プロに)行くから」

 並々ならぬ覚悟に「あそこからパッと変わった」と八寿男さん。4年秋に復活すると、自己最速を157キロに伸ばし、2021年のドラフト会議で巨人から1位指名を受けた。

 球界の盟主の一員になると、いきなり守護神に抜てきされて歴代新人最多タイの37セーブをマーク。セ・リーグ新人王に輝き、「侍ジャパン」入りを決めた。

 八寿男さんも西脇工高でプレーした野球人。日本代表のユニホームを着て躍動する愛息の姿は父から見ても「憧れ」だ。

 一方で、リリーフ投手のつらさもよく分かる。「ランナーを出しても抑えるのが仕事。結果を出せば何も言われないし、失点すれば何かを言われる」。世界最高峰の舞台で4試合に登板し、無失点と重責を果たした息子は自慢の存在だ。

 31日にはセ・リーグが開幕し、大勢は巨人の勝ち試合を締める役割に戻る。「やるしかないよね」と八寿男さん。世界一の余韻もそこそこに、「ナイスピ」とたたえる日常がすぐにやってくる。(有島弘記)

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