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準決勝で大阪桐蔭を逆転で下し、笑顔でスタンドへ駆け出す報徳ナイン=31日午後、甲子園球場(撮影・小林良多)
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準決勝で大阪桐蔭を逆転で下し、笑顔でスタンドへ駆け出す報徳ナイン=31日午後、甲子園球場(撮影・小林良多)

 高校スポーツ界でこの1年、「報徳」が旋風を巻き起こしている。昨春、ラグビー部が全国高校選抜大会を初制覇すると、冬の花園(全国高校大会)でも過去最高の準優勝。相撲部なども快進撃を見せ、今度は硬式野球部だ。甲子園球場で開催されている第95回選抜高校野球大会で21年ぶりの決勝に進み、1日午後0時半から山梨学院と対戦する。

 31日の準決勝では前回王者の大阪桐蔭を相手に「逆転の報徳」を見せつけた。

 三回に5点を失った直後に2点を返すと、七回に林純司の2点二塁打などで同点。八回には4番石野蓮授の適時二塁打などで2点を勝ち越し、九回を2年生右腕の今朝丸裕喜が締めて2万人の観衆を沸かせた。

■始まりはラグビー部

 報徳はスポーツ強豪校として知られるが、かつてない好循環はラグビー部から始まったと言えるだろう。

 昨年3月の全国高校選抜大会を皮切りに、7月の全国高校7人制大会も制した。冬の花園では、兵庫勢として1946(昭和21)年度の神戸二中(現兵庫高)以来76大会ぶりに決勝まで進み、硬式野球部員たちもスタンドで応援。頂上決戦の雰囲気を体感した。

 「生徒たちを見ていると、僕らでもできるんとちゃうか、と大きな刺激を受けているように思えますね」。相撲部監督で、林ら野球部員のクラス担任でもある小寺貴之さんは、ラグビー部の躍進が運動部全体の雰囲気を高めたとみている。

 その相撲部からも今年3月、全国優勝者が出た。ラグビー部の花園決勝を応援した岡本塁が、全国高校選抜大会の個人100キロ級を制覇。個人戦の優勝は、報徳勢として55大会ぶりの快挙だった。全国高校選抜大会では柔道部の新本慶も、男子個人73キロ級で準優勝に輝いている。

 4月から東農大に進む陸上部の前田和摩は、昨夏の全国高校総体男子5000メートルで日本人最高の4位に入るなど、年間を通じてトップランナーとして活躍。バスケットボール部は昨冬の全国高校選手権(ウインターカップ)に出場を果たし、サッカー部は冬の全国切符こそ逃したが、12年ぶりに兵庫県高校選手権の決勝まで勝ち上がった。

■21年ぶりの栄冠なるか

 硬式野球部はラグビー部の組織づくりも参考にした。

 秋の近畿大会を前にした昨年10月、余暇を通して一体感を育む「チームビルディング」を取り入れ、選手たちがグループに分かれて遊園地などで遊んだ。同学年8人で動物園に行ったという一塁手の辻田剛暉は「普段しゃべることが少ないメンバーと野球以外の話もできた」。マネジャー3人を含め97人の大所帯に根付いた一体感は、今大会の勝負強さと無関係ではないはずだ。

 部を越えて応援し合う関係は聖地でも続いている。準決勝では、今春の全国高校選抜大会を8強で終えたばかりのラグビー部員たちが、アルプススタンドに陣取った。

 大声援を追い風に、報徳ナインが21年ぶりの春の頂点を目指す。(有島弘記)

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