かつて鉱山を中心に栄えた養父市大屋町明延には、地域のシンボルとして残るたばこ店があった。約10年前から空き家として売りに出されていたが、店を買い取り、地域住民や観光客らの交流拠点にするプロジェクトが始動している。地域住民や医療福祉関係者、全国から集まる協力者らとともに、新たな形の地域活性化を目指す。(吉田みなみ)
■区と市社協が10月からCF、店買い取りへ
明延鉱山は、奈良時代には採掘を行っていたとされる。1909(明治42)年にスズの鉱脈が発見されて開発が進み、日本一のスズ採掘量を誇ったが、1987年に閉山した。最盛期には鉱山関係者ら約4千人が住み、中心街には銭湯や個人商店、旅館などが並んだ。
その頃から地域で愛されてきたのが「小林たばこ屋」だ。当時はバス停が目の前にあり、遠方から来た人が立ち寄りやすい立地。たばこ販売のほかに、鉱山関係者への仕事紹介や一時滞在なども請け負っていたことから、多くの人でにぎわったという。