食と農の交流拠点として2月にオープンした「農菓(のうか)みきや」(高砂市阿弥陀町長尾)が、地元企業の商品を活用するなど、ごみの減量に力を注いでいる。店内で使うストローやスプーンを植物由来の素材にしたほか、生ごみ処理のコンポストを作るワークショップを開き、ごみ減量を通じた交流の輪を広げている。(中川 恵)
店主の春下充代さん(51)が「人・モノ・コト」の循環を目指して運営している。総菜や飲み物、チーズケーキなどを販売し、高御位山の麓という立地から、登山客が立ち寄り、テラス席でくつろぐことが多いという。
春下さんは農作業を通じて、カネカ高砂工業所(高砂町宮前町)で生分解性バイオポリマー「グリーンプラネット」が生産されていることを知った。同ポリマーは、植物油などを原料に、微生物の力で生み出され、土だけでなく海水中でも分解されるのが特徴。ストローやスプーンがスターバックスコーヒーやファミリーマートのカトラリーに採用されており、店でも使うことを決めた。
春下さんは、使用済みのストローなどを調理後の生ごみとともに、コンポストに入れて分解しようと試みたが、我流のせいか思うように分解が進まず、手作りコンポスト「こうべキエーロ」を作ることにした。
5月25日、リンゴ箱のコンポストを作るワークショップを店内で開催。講師には一級建築士の小畦雅史さん(48)=神戸市須磨区=を招き、7組11人の参加者は工具を用いて自作のコンポストを仕上げた。微生物の分解には温度と空気と水分が必要なため、透明の波板でふたを付けて光を確保し、ふたと本体の間には隙間を設けて通気性を良くする工夫を凝らした。
春下さんは「自分が学ぶために開いたワークショップだったけれど、こんなに参加者が来るなんて」と感想を述べ、気温が上がる夏本番を前に「これで分解速度が上がれば」と、さらなるごみ減量と循環社会の実現に期待を寄せている。