膵腎同時移植に携わった筑波大付属病院の小田竜也教授(中央)ら=24日午後、茨城県つくば市
 膵腎同時移植に携わった筑波大付属病院の小田竜也教授(中央)ら=24日午後、茨城県つくば市

 茨城県つくば市の筑波大付属病院は24日、脳死判定を受けた島根県の20代男性の膵臓と腎臓を、茨城県の30代男性に同時移植したと発表した。同院での膵腎同時移植は、臓器移植法施行前の1984年に実施して以来、41年ぶりとなる。

 病院によると、当時、全国初の膵腎同時移植として注目が集まった一方、脳死状態の患者からの臓器移植に反対する市民グループが筑波大医師を殺人罪で告発。97年の臓器移植法施行に伴い、医師は98年に不起訴となった。

 移植を受けた30代男性の容体は安定している。20日早朝に臓器を摘出し、21日未明に移植手術が終了した。

 膵腎同時移植は、重度の糖尿病患者に対し行われ、移植後はインスリンの自己注射や透析治療をする必要がなくなる。法施行後に国内で実施された膵腎同時移植は今回で516例目。

 消化器・移植外科の小田竜也教授は記者会見で「41年前の覚悟を聞いていたので、筑波大でもう一度やらないままではいけないと思っていた」と語った。