宝塚歌劇団は24日、宝塚大劇場(兵庫県宝塚市)で上演中の宙組公演のショーで使用している軍歌「海ゆかば」の歌唱を同日から取りやめることを公式ホームページで発表した。11月からの東京公演では楽曲自体を差し替える。公演を見たファンらから、第2次世界大戦の象徴ともいえる軍歌の使用を疑問視する声が相次いでいた。
太平洋戦争中に多用された官製軍歌で「第2の国歌」ともいわれた。戦意高揚を目的に大本営発表のラジオ放送などに用いられ、戦死した兵士への鎮魂歌という側面もあった。
ショー「BAYSIDE STAR(ベイサイド・スター)」の終盤、黒えんび服姿のトップスター桜木みなとさんが曲の冒頭部分「海行かば/水漬く屍/山行かば/草むす屍」を独唱する。万葉集にある大伴家持の長歌の一節で、天皇への忠誠を誓う内容を含む。
上演初日以降、「鎮魂の思いがあってもこの曲を選ぶ意図が分からない」「誰も使用を止める人はいなかったのか」と疑問視する声がネット上に相次いだ。
神戸新聞が使用意図などを歌劇団に問い合わせていたところ、24日に公式ホームページとほぼ同じ内容の文章で回答があり、「決して戦争を肯定するような意図で演出しておりません」「さまざまな意見を頂戴していることを受けての対応」としている。