今回の自民党総裁選では、国会議員の男女比率の是正や選択的夫婦別姓といったジェンダー平等に向けた議論は深まらなかった。5候補の公約はいずれも具体性を欠き、「次の首相」として積極的に論戦をリードしていく姿勢に乏しかった。

 5候補の女性活躍に関する公約を比較すると、高市早苗前経済安全保障担当相は「全員活躍の人事」、茂木敏充前幹事長は「若手、女性の積極登用」とそれぞれ人事面で言及した。林芳正官房長官は「女性、高齢者を含め、働きたい人を後押しする雇用環境の抜本改革」と記した。

 選択的夫婦別姓や同性婚はどの候補も触れなかった。

 自民は2023年に「所属女性国会議員の割合を今後10年間で30%に引き上げる」との目標を定めている。総裁選の論戦では、茂木氏が「閣僚の3割は女性を登用する」と踏み込んで目を引いたものの、小泉進次郎農相は、女性活躍を推進する具体策を問われ「あらゆる政策を導入したい」と述べるにとどめた。小林鷹之元経済安保相は「一人一人の能力を最大限発揮できる環境整備が必要だ」と指摘した。