神戸市西区神出町の「田井簡易水道」で7月、国の暫定目標値を超える有機フッ素化合物(PFAS)が検出され、管理する組合が住民に飲用を控えるよう呼びかけていたことが、市などへの取材で分かった。
健康への影響が指摘されるPFASについては、水道水で「1リットル当たり50ナノグラム」という国の暫定目標値がある。
市水道局によると、田井簡易水道は約320世帯の約千人が利用し、住民でつくる組合が運営。国の要請を受けて7月に同局が調査し、2カ所で68ナノグラムと69ナノグラムを検出した。昨夏の調査では目標値を下回っており、原因は不明。組合が住民に注意喚起したほか、市水道を使って応急の給水拠点も設置した。
また給水エリアの市立神出小では、市教育委員会が給食室や冷水機などに浄水器を取り付けて濃度を低減し、保護者には水筒を持参するよう呼びかけた。
今後は活性炭処理や市の水道水による希釈を検討するほか、神出小のみ市水道を引く可能性もあるとする。住民の80代男性は取材に「急に数値が上がったとすれば原因は何なのか、どんな浄水器を使ったら良いのか。分からないことが多い」と戸惑いを見せた。
PFASを巡っては来年4月、目標値を水道法上の「水質基準」に引き上げ、水道事業者に定期検査や基準を守る義務を課す改正省令が施行される。(井沢泰斗)