苦しみ抜いた渡部暁斗(北野建設)の表情は晴れやかだった。「いい人生だった。こうして競技の世界を去れるのは、本当にいい終わり方」。19日のノルディックスキー複合男子団体スプリントで、日本は6位だった。今季限りで引退する37歳のベテランが「季節外れの桜を咲かせる」と臨んだ最後の五輪。理想と現実の間で葛藤する自分から逃げずに向き合い続けたからこそ、たどり着いたすがすがしさだった。
過去5度の五輪はいずれも競技との向き合い方の「道しるべ」になってきた。楽しむだけだった2006年トリノ大会に始まり、世界屈指の実力者へと成長。金メダルだけを目指し、その重圧に苦しんだこともあった。
最後の五輪を終えて感じたのは「応援の力」だ。個人戦は11位と19位。メダルに遠く及ばぬ自分の存在意義を否定したくなった時、変わらぬ声援の存在に気づいた。「真剣に競技と自分に向き合ってきたからこそ、そういう最後を迎えられた」と感慨をにじませた。
「道半ば散っていった桜が、若い選手の道しるべになれば」と願い、後進にバトンを渡す。(共同)
























