講談社は29日、作家の帚木蓬生さん(79)の長編小説「少弐 民に捧げた三百六十年」の販売を中止し、書店に対し、店頭在庫の返品を依頼したと発表した。実在の歴史研究者を無断で登場させ、作中で「亡くなった」と書いたことに研究者の家族が抗議、同社は取材に対し「編集上の不備があった」としている。
家族は同社に作品の回収と経緯の説明を要求し、既に同社幹部から謝罪を受けたという。家族は「(帚木さんと)面識はなく、事前の確認もなかった。なぜこうなったのか疑問と憤りを感じる」と話している。
同社広報室は「不備をチェックできなかったのは私たちに責任がある。今後の対応は協議中」とした。販売中止の理由は明かしていない。
帚木さんは取材に「尊敬する方なので実名にした」と説明し、物語上で死去させたことについては「コロナ禍の怖さも書きたかった」と述べた。
帚木さんは1947年福岡県生まれ。精神科医として働きながら小説を執筆。「三たびの海峡」「閉鎖病棟」「守教」など医療や歴史をテーマにした作品を多く手がけている。























