阪神・淡路大震災を機に兵庫県が創設した住宅再建共済制度(フェニックス共済)に、給付総額が積立金を超える場合の支払限度額が設けられることになった。震災の教訓から生まれた「共助」の仕組みは大きな転機を迎える。
フェニックス共済は、年間5千円の負担(掛け金)で、自然災害で全半壊した住宅の再建に最大600万円が支給される。公的支援や自助努力の限界を補い、生活復興の基盤となる住宅再建を助け合いで支える兵庫独自の制度として、2005年に導入された。25年3月時点で約16万6千戸が加入し、積立額は143億円に上る。これまで計456戸に6億9500万円を支給した。
県条例は、給付総額が積み立てを上回った場合、県が運営を委託する公益財団法人「県住宅再建共済基金」が金融機関から借り入れて支払い、県が損失補償すると定めていた。支払限度額の設定に伴い、県が損失を補う規定も削除する。条例改正案が昨年12月県議会で可決され、県は今年4月の施行を目指している。
制度創設以来、初の抜本的な見直しとなる。どの程度の被害規模で、限度額をいくらに設定するかによって、最大600万円の給付金が減る可能性が出てくる。直接影響を受ける加入者はもちろん、県民への丁寧な説明が欠かせない。
発端は、県議会で南海トラフ巨大地震など大規模災害が発生した際の県の財政リスクを懸念する声が上がったことだ。中には共済制度の廃止を求める意見まであり、県は昨年から有識者会議に諮って見直しを検討してきた。
有識者会議は制度存続を前提に、「支払限度額を設けるのが適当」とする最終報告書をまとめた。民間の保険に多い「200年に一度」の地震を想定した場合などの試算を示し、「限度額は積立状況を踏まえて災害の都度決定する」との考え方も示した。給付金の減額、掛け金の増額などの案は加入者の理解が得られないとして採用しなかった。
住宅再建に最大300万円を支給する被災者生活再建支援法は31年前にはなかった。地震保険が普及し、自治体による独自の支援策も充実してきた。だが資材高騰などで再建費用は年々膨らみ、激甚災害が頻発する中、公助と自助の隙間を埋める共助の重要性は高まっている。
創設から20年余り。見直しを機に改めて制度の周知に努め、約1割にとどまっている加入率を高める必要がある。耐震化の支援策を拡充し、被害が軽減すれば給付も抑えられるだろう。持続可能な制度として確かな土台を築くため、共助の輪を広げる努力を続けなければならない。























