閉廷後、記者会見する女性患者代理人の若宮隆幸弁護士ら(左)=12日午後、姫路市北条1、県弁護士会姫路支部会館
閉廷後、記者会見する女性患者代理人の若宮隆幸弁護士ら(左)=12日午後、姫路市北条1、県弁護士会姫路支部会館

 赤穂市民病院で女性患者(81)が腰の手術を受けた際に神経を切断され、重度の後遺障害を負った事件の判決公判があった12日、女性患者の代理人、若宮隆幸弁護士が閉廷後に姫路市内で記者会見を開いた。主なやりとりは次の通り。

 -神戸地裁姫路支部は、当時執刀医だった松井宏樹医師(47)に禁錮1年、執行猶予3年の判決を言い渡した。判決の評価は。

 「被告人の弁解は排斥されたと考える。量刑が適当かどうかは疑問があるが。他の事例からしても厳しい判決だったのでは。(松井医師は)基本中の基本ができていない。医療行為は危険を伴うが、それゆえに安全を守ってもらわないといけない。今回の案件は、一般的な医療事故とは一線を画すものと認識していて、松井医師のずさんさを認めた」

 -控訴の可能性もある。相手側に求めることは。

 「松井医師には判決を受け止めてほしい。裁判が始まる前に『反省が述べられ、もしかしたら謝罪があるかも』と、わずかながら期待していた面もある。しかし、私たち(被害者側)とは、明らかに認識の違う話が、公判中に出てきた。平然とうそをつく、目を合わせない態度も見てきた」

 -病院側のバックアップが不備だったとの指摘もあった。

 「医療はチームで行うものというのも事実で、裁判所の判断も一定評価する。ただ、私たちの見方は少し異なる。バックアップ体制はあったが、松井医師がそれを振り切って事故を起こしたのではないか。指導医の証言では『止血しなさい』としたが、それを振り切って、彼の判断でドリルを回し続けた」

 -赤穂市民病院の件では、今回の刑事裁判の前に民事裁判も担当された。裁判長が判決理由で「社会的制裁」に言及した点をどう感じたか。

 「それはその通りで、内容面で不満ははない。医師として事実上、働けていないということなので」

 -(判決確定後に行政処分を審議する)医道審議会が開かれる流れとなることが想定されるが。

 「私たちとしては、今後、医師して働いてほしくない。免許取り消しが相当だ。松井医師は裁判の中で、頭を下げたが、心からの謝罪とは受け止められない。患者家族の意見書でもあったが、明らかなうそがある。指導医の責任とする場面もあった。反省そのものが疑わしい」

 -医療事故では珍しい有罪判決だ。

 「手術の中で、手技に関する判決だった。患者家族のコメントにもあったが、(医療事故で)裁判がやみくもに広がっていくことは、社会全体に良くない。ただ、基本中の基本がなっていない。やみくもにやっているようにも見える。ありていに言うと、今回は、ひどすぎた。『どこを(ドリルで)削ってるか分からへん』というのは、あまりにもひどいという思いだ」

 -松井医師に裁判で向き合ってみて、どう感じた。

 「彼の性格というか、分かりかねる面がある。例えば刑事裁判の中で、うそをつく。うしろめたさを感じないのかと思う。医療事故後、患者の診察に毎日行ったとしたが、被害者側とは認識が違う」

 -医師免許の在り方に関してどう考えるか。

 「医道審議会で免許取り消しまでなるのかどうか。制度の運用に若干の疑問がある。医療界で今後、議論してほしい」

 -同じ病院で連続して事故が起こった。

 「最初の段階から、検討、検証していればその後の事故は防げたのではないか。医療の安全を問うた裁判だったのではないか。今回、病院側も最後までしっかり検証をしていない。それで信頼を落として、病院経営が落ち込んでいるのではないか」

 -最後に。

 「事故発生から6年余り。被害者やその家族にとっては、一つの区切りとなる。このような医療事故が二度と起こらないよう願っている」