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 米海兵隊普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設工事が進む同県名護市辺野古の沖合で船2隻が転覆し、乗船していた同志社国際高校(京都府京田辺市)の生徒18人と乗組員3人のうち女子生徒と船長の2人が死亡、生徒12人が負傷した。研修旅行の平和学習で乗船していた。亡くなった生徒は2年生で17歳だった。学校行事の中で若い命が失われたことは痛ましいというほかない。

 救助された生徒たちは、身体的な傷に加え、事故のショックで心にも深い傷を負っているに違いない。きめ細かな心理ケアが求められる。

 2隻は「ヘリ基地反対協議会」が運航する小型船で、普段は移設への抗議活動に使い、見学などにも活用されていた。1隻目が転覆して間もなく2隻目も転覆し、乗っていた全員が海に投げ出されたという。

 第11管区海上保安本部は大波の影響で転覆したとみて、業務上過失往来危険、業務上過失致死傷などの容疑で捜査している。最初の転覆を見た2隻目の船長が慌てて救助に向かい、二重遭難となった可能性もあるという。死亡した生徒は2隻目に乗船していた。被害の拡大が防げなかったかを含め、転覆に至った原因の徹底究明が必要だ。

 当時は波浪注意報が出ていた。現場は波が高くなりやすい海域で、海保の職員が注意を呼びかけていた。生徒らは救命胴衣を着用していたが、女子生徒は救命胴衣が船体の一部に引っかかっていたとされる。当日の出航判断や安全確認に問題がなかったかも問われる。

 2隻は海上運送法に基づく事業登録をしていなかった。ヘリ基地反対協議会は見学をボランティアで引き受けているためと説明したが、他人の需要に応じて運送するときは登録の対象となる。その場合、安全管理規程を策定し、出航判断などについて定めておくことになる。事業登録を巡る違法性の検討と合わせ、日頃の運航実態の検証が欠かせない。

 一方、学校側の対応では、2隻の船に引率教員が同乗していなかったことが分かっている。同校の運営法人は月内にも、外部有識者による第三者委員会を設ける方針だ。委員会では学校による安全管理の問題点を明らかにしてもらいたい。

 同校は研修旅行を長年続けてきたという。命の大切さを学ぶ貴重な機会となっていたに違いない。それだけに今回の事故は残念でならない。各校が実施する現場研修などが今後も継続できるよう、関係者は万全の安全対策を講じてほしい。

 太平洋戦争の悲劇を知る上で、沖縄での研修は他に代え難い。事故があったからといって、平和学習の取り組みを後退させてはならない。