今年の春闘が好スタートを切った。上場企業の堅調な業績を背景に、労働組合の賃上げ要求に対して大手企業で満額回答が相次いだ。労組の中央組織、連合の最新集計では全体の賃上げ率は5・12%となり3年連続で5%を超えた。ただ、組合員300人未満の中小企業は5・03%と平均を下回った。
雇用の7割を占める中小企業の労使交渉はこれから本格化する。物価高で家計の苦しさは増しており、賃上げの勢いを広く波及させることが不可欠だ。米国とイスラエルによるイラン攻撃に伴う原油価格高騰などの逆風が吹くが、持続的な賃上げの重要性は変わらない。稼ぐ力をどう高めるかを含め、労使で議論を深めてほしい。
厚生労働省が3月下旬に公表した2025年の賃金構造基本統計調査によると、フルタイムで働く男女の月額賃金は前年より3・1%増えて34万600円だった。春闘の賃上げなどが全体を押し上げ、4年連続で過去最高を更新した。
しかし、企業規模別では伸び率に差が出た。従業員千人以上の企業は5・7%だが、10~99人は2・1%、100~999人は1・0%にとどまる。男女別に比較すると、企業規模が大きいほど男女間の賃金格差が大きかった。管理職の女性割合の低さが要因とみられる。
中小企業の賃上げ率が見劣りするのは、コストや労務費の上昇分を価格に十分に転嫁できていないためだ。価格転嫁の遅れは構造的な問題であり、関連労組と連携するなど交渉力を高める工夫が求められる。一方、大手企業は自社だけでなく、取引先やひいてはサプライチェーン(供給網)全体の賃上げを見据えた価格改定に取り組む必要がある。
今年1月に下請法を改正して施行された中小受託取引適正化法は、大手企業が受注側の中小企業に対して取引価格や支払期日を一方的に決めることなどを禁じた。政府は不当な取引の根絶へ向け、企業に法令順守を呼びかけるとともに監視強化に努めねばならない。
連合は今春闘の賃上げ目標を全体平均5%以上、中小6%以上、非正規労働者7%と設定した。大企業と中小企業間の格差に加え、雇用形態や性別による格差の是正を重視しており、3月下旬に会見した芳野友子会長は「(交渉は)ここからが本当の正念場だ」と述べた。
労組に加入する人の割合を示す組織率は、25年時点で推定16%となった。女性は12%とさらに低い。処遇改善を行き渡らせるには、労組に入っていない人への目配りが欠かせない。働き手の連帯をどう広げるか。連合の存在意義が問われる。























