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 5月1日の労働者の日「メーデー」が近づいてきた。

 2026年春闘は、中小企業の労使交渉がヤマ場を迎えている。先行した大企業では、満額回答や高水準の賃上げが相次いだ。

 中小企業は働き手の7割を雇用し、地域経済を支える存在である。長引く物価高が家計を圧迫しており、持続的な賃上げの裾野を中小企業にも広げる必要がある。中東情勢の混乱など懸念材料を抱える今こそ、会社の枠を超えて労働者が連帯や団結する意義を改めて確認したい。

 兵庫県内の労働組合は、連合兵庫がきょう29日、兵庫労連が5月1日にそれぞれ神戸市内で大規模な集会を予定する。賃上げや長時間労働の是正に加え、対話による平和の実現を訴える。

 連合は今春闘の賃上げ目標を全体で平均5%以上、中小企業6%以上と設定した。今月14日時点の集計で賃上げ率は平均5・08%となった。このうち組合員が300人未満の企業は4・84%と目標に届かないものの、連合は「中小の組合も健闘した数字」としている。

 見過ごせないのは、中小企業に「賃上げ疲れ」が広まりつつあることだ。民間調査会社の東京商工リサーチ神戸支店が2月上旬までに実施した兵庫県内企業の調査によると、中小企業145社の約80%が賃上げを予定し、理由のトップは従業員の離職防止だった。人材確保のために経営体力を超えて賃上げに踏み切るケースも少なくない。

 そこへ、原油の高騰が追い打ちをかける。米国とイスラエルによるイラン攻撃以降、県内の企業向け相談窓口には、燃料不足による事業停止や資金繰りの悪化など多くの相談が寄せられている。

 政府は原油の確保に全力を挙げねばならない。併せて、影響が長期に及ぶ可能性を視野に入れ、経済や暮らしの混乱を招かないよう丁寧に説明しながら、段階的な需要の抑制策に踏み出すべきである。打撃を受ける中小企業への効果的な支援策も検討してほしい。

 中小企業の継続的な賃上げには、人件費や原材料費などの上昇分を価格に適正に反映できる環境の整備が欠かせない。企業間取引の価格転嫁は十分に進んでいるとは言い難い。大手企業は率先して、サプライチェーン(供給網)全体を見据えた価格改定に取り組むことが重要だ。

 高市早苗首相は「労働時間規制の緩和検討」を掲げる。今後、残業規制を巡る議論の活発化が予想される。労働組合は働く者の心身の健康を最優先に、過労死を根絶し、多様な働き方が可能になる政策の推進へ向け力を結集してもらいたい。