日銀は4月末に開いた金融政策決定会合で、政策金利を現行の「0・75%程度」に据え置くことを決めた。昨年12月の利上げ決定以来、3会合連続の現状維持である。
物価高に歯止めがかからず、追加利上げに踏み切ってもおかしくない局面だ。しかし中東情勢の先行きが見通せず、石油由来の資材不足も指摘される中、景気に水を差しかねない政策判断には慎重にならざるを得なかったのだろう。
植田和男総裁は会見で、金融政策運営が後手に回らないよう「次回以降の会合で適切に判断する」と述べた。物価高の加速で経済活動や国民生活に深刻な影響を及ばさないために機を逸さず手を打つ必要がある。
今回の会合では、参加する9人の審議委員のうち3人が金利の据え置きに反対し、利上げを提案した。3人以上の委員が反対したのは2016年1月の会合以来で、審議委員の間でも状況判断が割れる難しい話し合いだったことを指し示す。
物価上昇が日本経済に及ぼす影響の拡大は日銀も認めている。決定会合と合わせ公表した景気予測では、2026年度の消費者物価指数上昇率の見通しを前年度比1・9%から2・8%に引き上げる一方、実質国内総生産(GDP)成長率は1・0%から0・5%に下方修正した。
物価上昇と景気悪化が同時進行するスタグフレーションに陥らないか懸念する。その場合、金利引き下げや財政出動といった景気対策を講じれば物価上昇に拍車がかかる。物価対策で金利を上げれば景気はますます悪化する。難しいかじ取りが続くが、中東情勢を見極め、タイミングを逃さず利上げに踏み切るべきだ。
現在の物価高の一因には金融政策だけでなく、財政政策も関わっている点は強調しておかねばならない。
高市早苗首相が掲げる「責任ある積極財政」を受け、市場では多額の国債発行を先取りし円や国債が売られ、輸入物価や長期金利上昇を招いた。首相は金融緩和で景気刺激を狙う「リフレ派」と目されている。物価高対策と銘打つ給付金や補助金も国債増発を招くと指摘される。
今回の会合後の会見で植田総裁は利上げに前向きな姿勢をにじませ円高に振れる可能性もあったが、実際は市場で1ドル=160円台後半まで円安が進んだ。急激な円安の阻止へ政府・日銀による市場介入で5円近く値を上げたが、効果が持続するかは見通せない。
金融政策の独立性を保つためにも、政府は日銀の判断に口出しすべきではない。円安も金利上昇も経済政策に対する市場の評価である点を真摯(しんし)に受け止め、財政健全化に努めねばならない。






















