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 まだ5月半ばを過ぎたばかりだが各地で暑さが本格化している。兵庫県内でも最高気温が30度を上回る「真夏日」の地点が増え、きのう豊岡市は35度超の「猛暑日」となった。総務省消防庁によると、今月1~10日には全国で556人が熱中症で救急搬送されている。危険な暑さから命を守る備えを早急に始めたい。

 近年の夏の暑さは深刻だ。国内で過去に40度以上を観測した延べ108地点のうち、昨年までの3年間の記録が41地点を占める。昨夏の国内の平均気温は平年を2・36度上回り、統計開始から最も高くなった。

 気象庁は先月、最高気温が40度以上の日を「酷暑日」と呼ぶことを決めた。今夏も高温が予測され、熱中症対策として軽い運動などで今から暑さに体を慣らす必要がある。

 体力や抵抗力の弱い高齢者や子どもには特に注意が求められる。

 年齢を重ねると喉の渇きを自覚しづらくなり、定期的に水分を取ることが重要だ。図書館や商業施設など、暑さを避ける場所として自治体が指定する「クーリングシェルター」の拡充や周知も欠かせない。

 中東情勢の混乱で電気代が上昇すれば、エアコンを使うのをためらう人が増える懸念もある。命に関わるだけに、政府や自治体は適切な支援策を講じてもらいたい。

 自動車に残された乳幼児が、高温の車内で亡くなるケースも例年起きている。子どもは体温調節機能が未発達であり、車内に残すことが命に関わると認識すべきだ。

 体育の授業や運動会などの学校行事、各種の部活動も、既に夏本番並みの暑さ対策が不可欠になる。子どもの安全を第一に考えてほしい。

 屋外での作業など、仕事の現場も酷暑にさらされる。昨年、国は熱中症対策を事業者に義務付けた。人手不足の中で貴重な働き手を守るため、昨夏に講じた対策の効果などを検証して、早めに手を打たねばならない。

 環境省は2024年、都道府県内の全地点で暑さ指数が一定以上の場合に発する「熱中症特別警戒アラート」を設けた。アラートが出れば自治体はクーリングシェルターを開放するほか、暑さ対策を徹底できない行事は中止や延期を呼びかける。

 過去2年で発表例はなかったが、標高が高く気温が低い観測地点が含まれ、特別アラートが出ない要因と指摘されていた。実質的には各地でアラートが出てもおかしくない暑さだった可能性が否めない。

 今年から環境省は実態に合った発表に向け、標高が高い地点などを除外する。天気予報やこうしたアラートなど各種の情報も注視し、警戒を強めて対応することが重要になる。