告発文書問題を巡る情報漏えいの管理責任を取るとして兵庫県の斎藤元彦知事が6月定例会に提出した自身の給与減額案について、県議会は継続審議と決めた。採決の見送りは4度目となる異常事態である。
県の第三者調査委員会は昨年5月、告発者の元西播磨県民局長(故人)の私的情報を元総務部長が県議3人に漏えいしたと認定し、「知事や元副知事の指示のもとに行われた可能性が高い」と結論づけた。
元副知事や別の県幹部は第三者委の聴取に対し元総務部長の主張に沿う説明をした。だが知事は「指示したという認識はない」と一貫して関与を否定している。発言の食い違いについて、知事から合理的な説明はないままだ。
一方で知事は「組織の長としての責任」を理由に減給処分を表明し、昨年6月の定例会に給与減額の改正条例案を提出した。だが県議会は「事実解明が先」などとして、1年近く継続審議としてきた。
地方公務員法(守秘義務)違反容疑で刑事告発された知事が3月に不起訴(嫌疑不十分)処分になったことを踏まえ、最大会派の自民党が賛成の方針に転じ、今定例会では可決の公算が大きくなった。
流れを引き戻したのは知事の発言だ。8日の一般質問で、内部告発した人物の探索は「法律上禁止されていない」と言及した。告発文書についても「真実相当性が確認できなかったことから、公益通報者保護法上保護される3号通報(外部通報)ではない」などと答弁した。
別の第三者調査委員会は昨年3月、告発文書の作成・配布は「3号通報に該当する」と認定し、県が通報者を特定したことは「公益通報者保護法違反だ」と指弾した。知事の答弁は自ら設置した第三者委の結論に背を向け、法令順守を軽んじるものだ。自民内に異論が噴出し、継続審議に方針が覆ったのは当然だろう。
知事は告発者への対応について「適正、適法、適切」との見解を繰り返す。第三者委や議会から非を指摘されてもかたくなに認めない姿勢が事態の収拾を阻んでいる。「結論を真摯(しんし)に受け止める」と言うのなら、「違法」とされた元県民局長の懲戒処分を撤回し謝罪すべきだ。その上で県政トップとして身を処し、県民の信頼を取り戻す必要がある。
一方、県議会の対応も問われる。異論や批判に耳を傾けない知事の姿勢をただし、責任の取り方は不十分だと問い続けねばならない。長引く混乱の収束には二元代表制を担う知事と県議会が誠実に向き合い、県政の「違法状態」を解消することが不可欠だ。うやむやなままでこの問題を終わらせることは許されない。
























