神戸新聞NEXT
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 あんなに厳しかった日差しが、いつの間にかうそみたいに優しくなった。野山も色づいて、各地で秋のお祭りが催されている。お祭りと聞くと、無条件で何やら気持ちが昂(たかぶ)る。子どもの頃、地元の山の上のお寺でお祭りがあった。期待に胸を膨らませて迎えた当日、境内までの坂を上っている途中、あろうことかバテて足があがらなくなってしまった。そこに祭りを告げる重低音の太鼓の音が鳴り響き、足が軽くなって無事上りきったという思い出がある。この歳になっても太鼓の音を聞くとお祭りの高揚感と合わさって、不思議と走り出したくなってしまう。