長田マンスリー
明治時代からゴム産業などで栄えた神戸市長田区は、職を求めてアジアなどから移住してきた外国人とその家族が、今も多く暮らす。神戸市内の在留外国人数で見ると、中央区に次ぐ多さで、小学校に通う外国籍児童も増えている。日本語や母国語を教えたり、地域になじめるよう支援したりする取り組みも活発だ。多国籍の人々とともに生きる、長田の街を取材した。(久保田麻依子、段 貴則)
「1から10までハングルで言ってみよう」
「朝鮮半島のお盆について学ぼう」
10月中旬、蓮池小学校(長田区大谷町1)であった母語教室「オリニソダン」には、朝鮮半島にルーツを持つ同小の約20人が参加した。先生役は、同教室を卒業した女子高生と、ボランティアで参加している大学生ら。わきあいあいとした雰囲気で、単語やあいさつを習った4年生の生徒2人は「朝鮮の歌や楽器の練習もあるし、ハングルの勉強もやりがいがある」と笑った。
オリニソダンの由来は「子どもたちの寺子屋」。日本での暮らしが長い児童に母国の文化や歴史に触れてもらおうと、「神戸在日コリアン保護者の会」などが、2004年に同小で、10年にはだいち小(須磨区)でも開講した。
運営する神戸コリア教育文化センター(長田区若松町3)のキム・シニョン代表理事(65)によると、長田区の在日コリアンは近年、3世、4世の世代が増え、母国との関わりが薄くなってきているという。センターは今夏、韓国の団体と協力し、子どもたちを現地に派遣して交流会を開いた。キムさんは「日本と朝鮮半島の橋渡し役になってもらいたい」と期待する。
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「韓国語でカエルの鳴き声は?」
「コーヒー輸出量でベトナムは世界何位?」
今月初め、外国にルーツを持つ児童も通う真陽小学校(同区二葉町1)で、日本と外国籍の児童が理解を深め合う「コリア・ベトナム集会」があった。同小では毎年11月をコリア・ベトナム月間に定め、翌12月に同集会を開いている。児童が外国の文化や食べ物、日本とのつながりなどを調べた成果を発表する恒例行事で、全校生徒約230人が参加し、学年ごとにクイズを出し合った。
集会は、ベトナム人児童にとっても、母国の文化を発表する場になっている。低学年児童は、国語の教科書に掲載されている話「くちばし」の文章をベトナム語で音読。「なんのくちばしでしょうか」の部分は日本人児童も一緒に声をそろえ、ベトナム語で読み上げた。
また、中・高学年の児童はベトナムの獅子舞「ムーラン」を披露。獅子を舞った5年の児童(10)は「ずっと獅子をやりたかった。うまくいって良かった」と胸を張った。
同小では毎週、ベトナム人児童に母語などを教える「ホアマイ教室」も開く。橋本祐一教諭(40)は「教室で母国の言葉や文化に触れ、集会で獅子舞を舞うことに憧れる子も多い。母国の文化に誇りを持つ機会になっている」と強調した。
【神戸市の外国人児童生徒数】市教育委員会によると、5月1日現在、1142人で、うち長田区には229人が在籍している。日本語指導が必要な児童生徒数は市内で423人、区内には95人。市教委では放課後に日本語指導をする「センター校」を市内の七つの小学校で設けているほか、12の支援団体と連携し、オリニソダンや民族文化を学ぶ教室を開いている。
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