元セクシー女優のフリーライター・たかなし亜妖
元セクシー女優のフリーライター・たかなし亜妖

ホストクラブの沼にハマると、なかなか抜け出せないイメージが強いですよね。確かにホストクラブに週5回行ったり、自分の収入以上のお金をホストにつぎ込むような遊び方(通称:ホス狂い)は生活の全てを夜遊びに全振りするため、「やめたくてもやめられない」という中毒症状に陥りやすいのです。

でも、歓楽街に足を踏み入れた人間が一生街から出られないのかというと、そんなことはありません。ずぶりと沼にハマった女性たちは、どのような理由でホスト通いを卒業したのでしょうか。月100万円以上のお金をホストクラブに払っていた上顧客(通称、太客)のみにターゲットを絞り、話を聞きました。

■全てのセンスのなさに冷めた

「彼、店内では本当に輝いて見えたんです。でも、歌舞伎町から出た途端驚くくらいキラキラオーラが消えた。むしろ“あれ、ダサいぞ?”と思っちゃって……」

こう語るのは元ホス狂いのA花さん(仮名・27歳)。某大手アイドル事務所の追っかけからホスト通いへと移行したタイプです。もともとナイトワーカーであり、お金に余裕があったのも夜遊びにハマった理由の1つとのこと。

彼女はエース(※)ではなかったものの、1ヶ月で100万円以上の売り上げを支える太客さん。ホストクラブは「与えたぶんだけ還元される」とは限らない世界ですが、担当ホストにとって太客=有難いお客さんのため、店外デートやアフターの数はそこそこ多かったそうです。

正直なところ、ホストにとって店外デートやアフターなどの時間外営業は、もっとお金を使ってもらうための先行投資に過ぎません。水商売で売れたいなら絶対に欠かせないサービスなのですが、A花さんは肝心の店外デートをしたのにも関わらず熱が冷めてしまいました。なぜなら彼の服装もデート内容も、何もかもがつまらなかったからです。

「私服は微妙だし、デートの内容も買い物かディズニーだけ。整形丸出しの顔も太陽の下だとかっこよく思えなくて……。とにかく、全てにセンスがないなと(笑)店の外での対応が微妙だと気づき始めてから、一気に魅力を感じなくなっちゃった」

実は彼女、以前指名していたホスト相手にも似たような経験をしていたとか(笑)「二度あることは三度ある」という言葉を胸に刻み、流れるようにホス狂いを卒業します。時間外営業が“歌舞伎町マジック”を解いた、とても残念な例ですね。

(※)エース:1人のホストに対し、一番お金を遣うお客さんのこと。

■会計盛り、オラ営にうんざり→逆襲

現在のホストクラブは諸々の規制が強まったものの、以前は“黒い営業方法”はいくらでもありました。キャストの尺度で会計を上乗せしたり、女性客を精神的に縛り付けてお金を使わせるなど、「営業」という言葉で一括りにすれば、多くのことがまかりとおっていたのです。

元ホス狂いのS菜さん(仮名・34歳)もあくどい営業に引っかかった被害者(?)で、指名ホストがかなりヒドい人だったとか。話を聞くと会計上乗せなどは日常茶飯事、オラ営と呼ばれる“俺様営業”の度が過ぎていたと言います。

「会計が常に高くて揉める日が多かったし、予算オーバーして足りない時は売掛を促されるのがいつもの流れ。アレコレ言うと“オレのこと好きじゃないんだ。じゃあいいよ”って突き放してくるんです!超俺様キャラで精神的にも追い詰められたし、今の規制に引っかかりまくってる最悪のタイプでしたよ」

話を聞く限りダメホスト臭のする人ではあるものの(苦笑)、彼はアメとムチの使い分けがとても上手でした。「ダメな男」と分かっていながらハマってしまい、気づくと洗脳に近い状態にまで陥っていたそう。

しかし、汗水垂らして働いた大金を延々と使い続けられるほど精神が持ちません。キャパオーバーした旨を正直に伝えると、指名ホストからは驚きの一言が……!

「毎月数百万なんてもうムリ!って言ったら、“じゃあ来なくていいよ”と返されてLINEブロックされました(笑)多分、突き放せばまた追いかけてくれると思ったんじゃないですか。むかついたし、全てに疲れて無視してたらブロック解除されて“おい、なんでシカト?”って追いLINEきましたけど」

S菜さんはついに堪忍袋の緒が切れ、最終的に“行く行く詐欺”をして彼に逆襲をしました。それ以来、ホストクラブはおろか歓楽街にも近づいていません。まさに愛が憎悪に変わる瞬間とはこのことでしょう。女性の恨みは本当に恐ろしいですね……。

■別の推し活に目覚めた、冬

「誰を指名しても、エースじゃないと気が済まなかった」と語るのは歌舞伎町にどっぷりとハマっていた元ホス狂いのM亜さん(仮名・24歳)。負けず嫌い且つ、世話好きな性格が影響して担当ホストを支えることが生き甲斐でした。

月300万円は必ず店に使い、隣にいるイケメンがナンバーワンを取ると幸せな気持ちになったと言います。

「お金を使ったぶんの対応をしてくれたら満足だったので、店外やアフターを要求した覚えはほとんどありません。まぁ文句を言わずともそこをスマートにこなす売れっ子しか指名してなかったからでしょうけど」

彼女曰く、夜遊びは恋愛&育成ゲームの延長線上だそう(笑)夜遊びをめいっぱいエンジョイしていたため大きな不満はありませんでしたが、ある日、友達からの誘いによりメンズ地下アイドルのライブ現場へ行くことに。一目で恋に落ち、担当ホストを放置してライブハウスに通う生活になったのです。

「ホストもアイドルも推し活ですけど、こっちの方が歌舞伎町行くより安く済むし、歌やダンスを見るのって楽しい。ちょうどハマったのが去年の11月とかで、ホストクラブの年間ナンバーが決まるラストスパートの時期でした。

私が店に来なくなってから売り上げが下がったらしく、担当が猛烈に焦っていたらしいけど、もうそんなの知ったこっちゃない(笑)新しい趣味ができてからパタッとホストへ行かなくなり、今は推し活ライフをエンジョイしてます♡」

(※インタビュー時・2025年6月以前の情報です※)

あまりの変わり身の早さには少々驚きですが、乙女の心変わりはとても早いもの。もともとM亜さんはポジティブに趣味を楽しむタイプですから、“推し”の対象者が変わっただけと言えば、それまでの話なのでしょう。

◆たかなし亜妖(たかなし・あや)元セクシー女優のシナリオライター・フリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ゲーム会社のシナリオ担当をしながらライターとしての修業を積み、のちに独立。現在は企画系ライターとしてあらゆるメディアで活躍中。

◆たかなし亜妖(たかなし・あや)元セクシー女優のシナリオライター・フリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ゲーム会社のシナリオ担当をしながらライターとしての修業を積み、のちに独立。現在は企画系ライターとしてあらゆるメディアで活躍中。