ホストやメンズコンカフェに狂う女性に対して、みなさんはどんな印象を持つでしょうか。多くの方が「学歴のない人や手に職をつけていない人、壮絶な人生を送ってきた人がハマりやすい」と考えているのではないでしょうか。もちろん想像通りのタイプもいますが、そんな女性ばかりだと思うのは大間違い。
実は真面目な人間ほど夜遊びにハマりやすく、歓楽街には高学歴&優秀な太客がゴロゴロ存在します。元優等生ほど“見知らぬ刺激”に弱いため、生活のすべてを捧げてしまいがちなのが現実です。
難関大学に通っている大学生がホストにハマって自主退学してしまったり、大手企業のキャリア組が給料やボーナスを全部突っ込んでしまったりするのもよくある話。普通と呼ばれた真面目ちゃんこそ、歓楽街の誘惑に負けるケースが絶えません。
■成績優秀な学級委員タイプが歌舞伎町へ行ったキッカケ
学生時代は常に成績上位、部活でもエースを張りながら活躍していた梨花さん(仮名・25歳)もそんな夜遊び沼にハマったひとりです。学生の頃は両親が厳しく、勉強もスポーツも一切気が抜けなかったそうですが、学生生活はとても充実していたと語ります。
そんな梨花さんは、ある時を境に親の敷いたレールを走り続けることに違和感を覚えたそうです。(以下『』内は梨花さん談)
『ぶっちゃけ家にお金はあったし、ワガママを言えば何でも買ってもらえる環境でしたが、それは親の言うことを1ミリのズレなくきいていたから。勉強や進学に関して自分の要望を口にしたことはないし、常に親や周りの顔色ばかり見ていたんです。
つらいなーと思ってる最中にちょっとした失敗をしてしまって、大学2年で一気に自暴自棄に。初めて人生で挫折した時に、アイドルの追っかけに狂ってた同級生と仲良くなったんです。その子と付き合い始めてから、ずっと我慢していた自分の全てが弾けちゃいました』
もともとその友人とは顔見知りだったそうですが、追っかけで全国行脚する姿を見て「自分とは世界が違う」と割り切り、あまり近づかなかったとか。しかし自由奔放な彼女を心底羨ましく思っており、「距離が縮まった時はとてもうれしかった」と言いました。
友人の誘いを受けて、遊び半分で歌舞伎町のホストクラブへ。その後、梨花さんはすっかりイケメンたちの“沼”にハマってしまったのです。
■ナイショのアルバイトをしながら、男の家に転がり込んだ
友人と行ったホストクラブの刺激が忘れられず、梨花さんは1人でホストクラブに通い始めます。大学の友人はホス狂いではなくたまに遊びに行く程度の“細客”だったため、突如勢いづいた彼女の変貌ぶりには驚いていたそう。
当時の梨花さんは1人暮らしをしており、実家からの仕送りで生活をしていました。家賃や光熱費も親持ちで、贅沢をしなければ悠々自適に暮らせる金額をもらっていたものの、ホストクラブに通うのなら話は別。夜遊びデビューをして早々にシャンパンを入れたくなり、急に大金が必要になってしまいます。
『この時は自暴自棄だったので、“もうどうとでもなれ”って感じで風俗バイトをすぐ始めましたね。今までの人生で単発バイト以外したことないから抵抗はあったけど、それよりホストに行きたかった。イケメンにちやほやされて、シャンパン入れた時の高揚感がたまらなかったんですよ』
バイト先では擦れていないお嬢様キャラクターで売り出され、そこそこ指名が入ります。日給5万円ペースで稼ぐと、もっとお金がほしくなり、遂には風俗バイトの掛け持ちを開始。段々と授業よりも、収入を優先する生活へ変わりました。
『勉強漬けから、仕事漬けの毎日になりましたね。この時指名してたホストは私がハマってくれたことに味を占めて、同棲を持ちかけてきました。私も職場から彼の家が近かったので、あっさり転がり込んで……。親の連絡も、友達の声も全部無視して、延々とお金を稼いだんです』
ホス狂いがヒートアップした結果、大学から足が遠のいた梨花さん。友人経由から学校をサボっていること、夜遊びにハマッた事実が両親にバレ、とうとう修羅場に……。最終的に自主退学し、仕送りはストップ。挙句の果てに家を解約され、親とは絶縁状態になりました。
■やめられない、元優等生ホス狂いの苦悩
居場所を失った彼女は、ますます夜遊びにのめり込みます。当時の担当ホストと同棲解消した後も、新たな“推し”を見つけては……を繰り返し、現在に至るとのこと。
今は夜職一本で稼ぎながら、相変わらずホス狂いがやめられません。本人としても罪悪感があるそうですが、「今さら引くに引けなくて」と悲痛な叫びを上げるのです。
『全部捨てて歌舞伎町を取ったから、これさえもなくなったら私自身どうしていいか分かりません。でもお金だけ追い続ける生活も疲れたし、最近の風営法の改変もあって夜遊びもマンネリ。あのタイミングでスパッとやめられたら良かったなぁ……。
連絡を取る友達は、大学で出会った例のコだけ。中学、高校の同級生は気まずすぎて会えないです。“今何してるの?”なんて聞かれたら答えられないし、有名企業に勤める人たちを見たら発狂するかも。
お母さんはマジギレで一切関わってこないけど、今でもお父さんが誕生日の日だけLINEくれるんですよね。まだ救いがあるうちにホス狂いをやめたいと思いつつ、今後どうすればいいのかが全く見えなくて、ダラダラと同じ毎日を繰り返しています』
勢いに任せて大学を辞め、身近な人々との関わりを絶ったことを後悔する梨花さん。まだ25歳という若さですから、今なら引き返しても遅くはないでしょう。ただ本人にその勇気がないと時間ばかりが過ぎてしまうため、どこかで一歩を踏み出してほしいと、勝手ながら思ってしまいました。
◆たかなし亜妖(たかなし・あや)元セクシー女優のシナリオライター・フリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ゲーム会社のシナリオ担当をしながらライターとしての修業を積み、のちに独立。現在は企画系ライターとしてあらゆるメディアで活躍中。