元セクシー女優のフリーライター・たかなし亜妖
元セクシー女優のフリーライター・たかなし亜妖

女性が一度は憧れるメイドカフェでのアルバイト。最近はコンセプトカフェ(通称コンカフェ)も増え、可愛い制服を着ながら働きたい!という若者が増えています。コンカフェ屋メイドカフェでは、10代からの勤務が可能で給料システムは時給+歩合です。煌びやかな世界で若いうちから高収入を狙える点も、多くの人が魅力を感じる部分なのでしょう。

人気メイドさんになると10代のうちから月収30万以上を手にできますが、これが普通と思えばあっという間に金銭感覚がマヒ。そして多方面からチヤホヤされることに慣れ切ると、承認欲求を抑えることができません。

そんな大人気メイドさんだったのに、その後キャバクラやラウンジで務めつつパパ活をするようになったのがユアナさん(仮名)です。現在27歳になる彼女は今大きな壁にぶつかっているそうですが、一体何があったのでしょうか。

■無敵のメイド時代「欲しいものはなんでも手に入りました」

子どもの頃から、ルックスを褒められる機会が多かったユアナさん。コミュニケーション能力が高く、「学生時代はスクールカースト上位にいたタイプ」だそう。負けず嫌いで勉強、スポーツ、どれもまんべんなく頑張ってきたと言います。

高校進学後は持ち前のルックスを活かしアイドル活動を希望したものの、親御さんから大反対を喰らってしまいます。人前に出る商売がしたかった彼女は両親を説得し、「メイドカフェのアルバイトなら」としぶしぶ許可を得ました。

16歳にしてメイドさんデビューを果たすと、「若くてカワイイ」とお客さんの間で大評判。すぐさま人気が出て、勤務1カ月も経たないうちにファンがつき始めたのです(以下『』内、ユアナさん談)。

『萌え産業が好きなオタクはやっぱりロリコン。若いだけですぐ客が掴めるから、最初のうちから集客には苦労しなかったですね。そこそこ大きいメイドカフェだったから嫉妬とか嫌がらせも多少あったけど、売れないコはすぐやめていくので気にならなかった。当時は自分が圧倒的にカワイイのを分かっていたし、“売れないのが悪いんじゃん?”みたいな。私、メンタル強いんですよ(笑)』

放課後はお店に直行する生活を続け、1年経つ頃には看板娘へと大成長。キャバクラとは違うためランキングや売り上げの発表はありませんが、高校卒業まで成績はトップでした。

当時の月収は30万円が基本で、誕生月はさらに収入アップ。当時のユアナさんは未成年でアルコールが飲めないのにも関わらず、1本30万円の高級シャンパンを記念に入れてくれるお客さんまで持っていたという……!

『あの時は欲しいもの、なんでも手に入りましたよ。私が“これ買ってきて”ってお願いすればお客さんみんな持ってきてくれるし。キャストもナンバーワンには逆らえないから、居心地がすごく良かった。ただ負けず嫌いだしもっと上に行きたくなって、メイドカフェを退店。大学進学と共に、次はキャバに挑戦したくなったんです。まぁこっちもトントン拍子で売れましたね』

■まさかの躓きで失脚……這い上がるのに必死な現在

「水商売が天職」のような彼女はキャバクラ時代に美の向上を求めて整形をし、童顔で萌え系寄りだった顔立ちを卒業します。

キャバクラからラウンジに移籍したあたりから、パパ活も開始。しかし、これまで何の困り事がなかったユアナさんは、ここで最大の落とし穴にハマります。なんと整形失敗と仲間の裏切りが同時にやってきて、あれほど強かったメンタルが崩壊してしまうのです。

『鼻を2回いじり、納得がいかなくて3回目の施術に挑んだんです。でも失敗して顔に合わないほど高く、左右のバランスが取れない曲がった鼻になってしまいました。病みまくってお店をしばらく休んでいたほどです。SNSに文句と愚痴を一生分書いてたくらいに落ち込んでたな(苦笑)

しかもお店を2カ月休んでいた間に、一番信じていた子に客を寝取られたんです。集団で仲良くしていたのにも関わらず、私がいない時にめちゃくちゃ悪口を言ったり、変な噂を流されていたようで……。

お店も売り上げがあるその子たちを信じて、事実確認もされず私はクビになりました。理不尽ですよね?』

悪い噂が広まったおかげで旧在籍店一帯の飲み屋には怖くて面接へ行けません。幸いにも鼻の再手術は成功し、ユアナさんは現場に復帰。今は港区から離れ、別の歓楽街で奮闘中なんだとか。

『今はどの歓楽街の中でも、最上級ランクと言えばやっぱり港区。そこを理不尽な理由で追放状態になったのが、悔しくてたまりません。今は負のループが相変わらず続いていて、昔のお客さんは結構切れてしまいました。“前の顔の方が良かった”みたいな理由もあって(笑)

ぶっちゃけ、顔がカワイイだけで売り続けていたところがあったので挽回の仕方が分からないな。今までずっと、ルックスの良さに甘えてあぐらをかいていたのかもしれません。そんな私の態度が気に食わなかった人がいるかもしれないと思うと、もっと謙虚に生きるべきでした。順調だった水商売人生で、初めて壁にぶち当たってます』

本音をポロリとこぼした彼女は、とても不安げな表情を浮かべていました。悲しいかな、水商売はルックスの良さだけで「ある程度のところ」まではいけてしまうもの。顔やスタイルだけが武器……なんてキャストはどこのお店にも一定数いて、トントン拍子で売れ続けると転んだ際の起き上がり方が分からないというケースが多いのです。

◆たかなし亜妖(たかなし・あや)
元セクシー女優のシナリオライター・フリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ゲーム会社のシナリオ担当をしながらライターとしての修業を積み、のちに独立。現在は企画系ライターとしてあらゆるメディアで活躍中。