生活費のやりくりがますます厳しくなる中、身の回りの不要品を手放して少しでも生活費の足しにする家庭も少なくありません。東京都在住のSさん(50代)もその一人。部屋の整理中に、ある“思い出の品”に目を留めました。
それは、結婚の証として購入した指輪でした。夫婦ともに一度も指にはめることのなかった指輪。結婚して19年、体型の変化もあり、すでにサイズが合わなくなっていました。思い出としては大切なものの、現実的には「使わないもの」になっていたのです。
そこでふと金の相場を調べてみると、約20年前に比べて大きく値上がりしていることがわかりました。「使わないなら、価値あるうちに活用したほうがいいかも」と思い、夫に相談。夫は意外にも即答で大賛成。「売るなら今でしょ!早いほうがいい」と背中を押され、質屋に持ち込むことにしました。
■子どもは大反対
ところが、子どもたちに話すと反応はまったく異なるものでした。
「えっ、売るの?絶対ダメ!なんでそんなことするの?」と強く反対され、息子に至っては「えっ…離婚するの?」と不安そうに聞いてきました。どうやら結婚指輪を売ること=夫婦関係の破綻、と受け取ったようです。さらに「S to K 2006って刻印あるじゃん、個人情報が漏れるよ!」と騒ぐ場面もありました。
Sさんは「電話番号じゃないから大丈夫」と笑いながら説明しましたが、息子の怒りは収まらず、ひとまず「売るのはやめる」と伝えてその場を収めました。実際には夫とは相談済みで、子どもたちには内緒という形で、指輪を手放すことにしたのです。
■勝手に質屋へ
質屋に足を運び、査定を受けると、購入時の約3倍もの金額が提示されました。「こんなに?」と驚きの声が漏れるほど。金やプラチナ、ダイヤモンドの価格は20年前より大きく上昇しており、刻印入りの結婚指輪でも、資産としての価値があることを思い知らされました。19年目にして初めて、結婚指輪が“お金になるもの”だったことを実感したといいます。
ちなみに、Sさんがこの話を友人にすると、「結婚指輪を売るなんて信じられない」と呆れられたそうです。強行に反対していた子どもたちとも価値観の違いを感じましたが、人によって「結婚指輪」の持つ意味が大きく異なることをあらためて感じたといいます。
売却額を夫に伝えると、目をまん丸にして「すごいじゃん!あの時の投資が高配当になって戻ってきたじゃん!」と満面の笑み。「まあ、子どもたちには内緒だけどね!」とSさんが返すと、夫はうなずきながら笑いました。19年の結婚生活に、小さな冒険と笑いが加わった瞬間でした。ちなみに売却で得たお金は教育資金として活用する予定です。
■結婚指輪は「永遠の愛の象徴」?
結婚指輪を売ることについて、読者のみなさんはどう感じるでしょうか。さまざまな意見が寄せられています。
▽40代 男性
結婚指輪はずいぶん前になくしてしまいました。どこにいったかもわかりません。金相場が上がっているのは知っていたので、こんなことならちゃんと保管しておけばよかったと思いました。
▽50代 女性
私も売りました。特に夫には相談していません。シンプルなデザインだったのでつけなくなって久しく、押し入れにしまいっぱなしでした。売ったお金は推し活に使っています。
▽30代 女性
ブランドの結婚指輪なので、一生ものだと思っています。離婚でもしない限り、売ることは考えません。
▽50代 男性
私は結婚以来、ずっと指輪をつけていますが、妻はつけていないかもしれません。もし勝手に売っていたら正直ショックです。ただ、思い出は心に残るもの。形として残らなくても価値が失われるわけではないと思っています。
(まいどなニュース特約・松波 穂乃圭)























