思わず目を惹かれる味わい深い毛柄がXで話題になったのは、サビ猫の律子ちゃん。
律子ちゃんは、元保護猫。福岡市で保護猫シェルター「よねっこはうす」営む飼い主・ちまきなころんさん(@chimakinakoron)はオンリーワンの毛柄であるサビ猫の魅力と、彼女たちが置かれている現状を知ってほしいと語る。
■“ほっかむり”しているようなサビ猫に一目惚れ
律子ちゃんは、多頭飼育崩現場から救い出された子だ。2023年、ちまきなころんさんは近隣で起きた多頭飼育崩壊現場のレスキューをサポート。その現場では状態が悪い子がとても多く、ほとんどの子が動物病院に入院した。
入院先へ行った時、ちまきなころんさんは律子ちゃんと出会った。律子ちゃんは、病院で里親募集されていたのだ。ちまきなころんさんは一目惚れしたが、「きっと、すぐ里親さんが見つかるだろう」と思っていた。
だが、どれほど待っても律子ちゃんを迎えたいという里親希望者は現れなかったという。
「特殊な柄のサビ猫であることや推定8歳とシニア期に差し掛かった年齢であったこと、猫エイズの(猫免疫不全ウイルス感染症)キャリアであったことなどが関係していたのかもしれません」
リンパが腫れたり、呼吸が苦しくなったりもしていた律子ちゃん。もう、穏やかに暮らしてほしいという気持ちが募った。このまま里親が現れなかったら、ぜひお迎えしたい。病院側に、そう申し出たことから律子ちゃんは家族の一員になった。
■賢く、甘え方のさじ加減が上手いサビ猫に魅了されて…
お迎え当初から、律子ちゃんはフレンドリー。他の犬猫とも仲良くでき、人間に対しても友好的だった。
「人間観察力が優れていて、とても賢い。がっつり甘えるというより、シレっと甘えます」
抱っこは苦手だが、自ら膝の上に乗ってくることはある。ちまきなころんさんは、真正面からじっと見つめられるたび、キュンとしてしまうそうだ。
「ブラッシングが大好きで、長時間要求されます。食事中にくしゃみした時には唾と一緒に、食べているカリカリも飛んでくるんです(笑)」
誤解されることもあるが、猫エイズキャリアは人間にうつることはなく、キャリアであっても発症せずに天寿を全うする子もいる。
「リンパが腫れたり鼻水が出たりすることはありますが、我が家に来てからの3年間、律子は元気に暮らしています。過度に怯える必要はないと私は思っています」
■保護現場で目にするサビ猫への“心ない言動”に胸が痛む
サビ猫は、全く同じ柄がひとりとしていない。オンリーワンの毛柄が愛らしいのだ。だが、里親が決まりにくいという悲しい現状がある。
保護活動をしているちまきなころんさんも、実際にそうした歯がゆさを感じたことが多々あった。
「年配の方からは、『サビ猫は不吉』と言われることが多いです。子猫が産まれた時、自宅近くの川にサビ猫だけ流していたという話を聞いて、絶句したこともあります」
また、昨年レスキューに携わった多頭飼育崩壊の現場でも、住人はサビ猫だけに水をかけ、「汚い」「来るな!」と心ない言葉を言い放ち、追い払っていたという。
「サビ猫は賢い子が多いですし、毛柄は“柄認証”できそうなほど唯一無二です。同じ柄の子を2匹並べるのも難易度が高い。そんなサビ猫の魅力を知ってほしいです」
なお、自身のシェルターではキジトラや黒猫も里親が決まりにくいそう。他の保護団体と話す中でも、同じ傾向があるという。
「初期段階で、長毛猫やお洒落な柄に目がいくのは理解できます。でも、一緒に過ごす上で何よりも大切なのは毛色や毛柄ではなく、相性や性格が合うことです」
だからこそ、猫を迎える際には「留守番ができるか」や「小さな子どもがいても大丈夫か」、「犬猫との接触をしたことがあるか」などを保護主さんに聞き、自身のライフスタイルと照らし合わせながら考えてほしい。ちまきなころんさんは、そう訴える。
SNSで大きな反響を呼んだ、律子ちゃん。その毛柄を通してサビ猫の魅力がより多くの人に伝わってほしい。猫は毛色や毛柄に関係なく、どんな子も等しく愛くるしい。
(愛玩動物飼養管理士・古川 諭香)

























