障害のある子が「水泳を習いたい!」利用できる施設は?※画像はイメージです(yurakrasill/stock.adobe.com/)
障害のある子が「水泳を習いたい!」利用できる施設は?※画像はイメージです(yurakrasill/stock.adobe.com/)

「プールの授業が楽しかったから、水泳を習いたい」

ある日、小学3年生の息子からそう言われた田中恵子さん(仮名)。息子は中度の知的障害があり、特別支援学級に通っています。普段は学校を嫌がることもある息子が、プールの授業のある日は「今日はプール!」とはしゃいでいたことや、先生から「本人も楽しんでいますし、水泳はかなり筋がいいです」と言われたことから、恵子さんも「もっと水泳を楽しませたい」と思うようになりました。

ところが、近隣のスイミングスクールやスポーツクラブに問い合わせたところ、「集団指導では対応が難しい」と入会を断られてしまいました。「息子が楽しめる場所はないのだろうか」と悩んだ恵子さんは、学校の特別支援教育コーディネーターに相談しました。そこで初めて、障害者スポーツセンターという選択肢があることを知ったのです。

■障害者スポーツセンターという選択肢

全国には、障害のある人が安心してスポーツに取り組める障害者スポーツセンターが設置されています。これは都道府県や政令指定都市が設置しており、全国29カ所にあります(2025年4月時点)。施設には、プール、体育館、トレーニング室などがあり、さまざまな種目に対応しています。

一般のスポーツクラブとの大きな違いは、障害の特性に応じた指導ができる専門スタッフが配置されている施設も多く、言葉での指示が難しい子どもには視覚的な手本を示したり、集団が苦手な子どもには個別指導から始めたりと、一人ひとりに合わせた対応が可能です。

恵子さんは学校からの紹介で施設に連絡を取り、見学に訪れました。スタッフは恵子さん親子の様子をていねいに確認し、「少人数の水泳教室に参加してみてはどうでしょうか。保護者の方も一緒に見学していただけると安心です」と提案してくれました。「息子のペースで、できることから始められる環境があると知って安心しました」と恵子さんは話します。

◆障害者専用・優先スポーツ施設も選択肢に

その他にも、障害のある人が専用で利用、あるいは優先的に利用できる「障害者専用・優先スポーツ施設」が全国各地にあります。身体障害者福祉センター、勤労身体障害者体育施設など、さまざまな種類の施設が含まれ、体育館やプールなどの設備を備えています。これらの施設も、障害者手帳を持つ人、医師の診断書や意見書がある人以外にも、自治体の判断によって利用が可能な場合もあり、利用料の減免を受けられることも多くあります。

お住まいの地域にどのような施設があるかは、市区町村の障害福祉課、日本パラスポーツ協会のウェブサイト、または学校の特別支援教育コーディネーターに問い合わせることで確認できます。

■利用方法と必要な手続き

障害者スポーツセンターや障害者専用・優先スポーツ施設を利用するには、障害者手帳(身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳)、または障害福祉サービス受給者証などの提示が必要な場合があります。施設によっては、初回利用時に利用登録が必要な場合もあります。

利用を始めるには、まず施設に問い合わせて見学を申し込むのがおすすめです。子どもの障害の状態や興味のあるスポーツを伝えれば、適切なプログラムを案内してもらえます。多くの施設では、少人数のグループ活動や定期的な教室など、子どもの状況に合わせた選択肢が用意されています。

利用料金は施設によって異なりますが、多くの公共施設では障害者手帳を持つ人は、利用料が無料または大幅に減免されます。付き添いの保護者についても、減免措置が適用される施設が一般的です。

■自治体独自の支援制度がある場合も

スポーツ施設の利用料減免以外にも、自治体によっては独自の支援制度を設けている場合があります。例えば、障害のある子どもがスポーツ教室やイベントに参加する際の交通費を補助する制度や、スポーツ用具の購入費を助成する制度などです。

また、日本パラスポーツ協会や、各地の障害者スポーツ協会が主催する無料または低額のスポーツ教室やイベントも、各地で開催されています。こうした情報は、市区町村の障害福祉課や障害者スポーツセンター、地域の障害者団体などで入手できます。学校の特別支援教育コーディネーターや、相談支援事業所に尋ねるのも有効です。

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「障害者スポーツセンターで活動を始めてから、体力がつき、表情も明るくなりました。同じように障害のある子どもたちと一緒に活動することで、息子も自信を持てるようになったようです」と恵子さん。スポーツは、子どもの健康や体力向上だけでなく、社会性を育み、自己肯定感を高める機会にもなります。

障害のある子どもにスポーツをさせたいと考えている保護者の方は、まずお住まいの地域の障害者スポーツセンターに問い合わせてみてはいかがでしょうか。子どもの可能性を広げる新しい扉が開かれるかもしれません。

【監修】勝水健吾(かつみず・けんご)社会福祉士、産業カウンセラー、理学療法士 身体障がい者(HIV感染症)、精神障がい者(双極症2型)、セクシャルマイノリティ(ゲイ)の当事者。現在はオンラインカウンセリングサービスを提供する「勇者の部屋」代表。

(まいどなニュース/もくもくライターズ)