記事特集
市民公募の「阪神淡路大震災メモリアル合唱団」がレクイエム(鎮魂曲)を歌う「1・17追悼コンサート」が十四日、文化復興のシンボル・兵庫県立芸術文化センター(西宮市)で最後の公演を迎える。一九九七年に始まり、毎回団員を募集、延べ二千人以上が「震災を忘れない」との思いをつないできた。十回目の今回は三十-八十歳代の二百七十四人が、決意と祈りを込めて合唱する。(網 麻子)
コンサートは、実行委員長の岡崎紘市郎さん(65)=西宮市高須町一=が、震災が発生した九五年夏、被災地コンサートを同市で開いたのがきっかけ。全国各地から集まった千人が第九を歌い、聴衆の被災者千五百人の中には口ずさむ人も。同市合唱連盟理事長だった岡崎さんは、会場が温かい空気に包まれ一体となった「音楽の力」を感じ、涙が止まらなかった。
この体験から合唱によって被災者を癒やし、震災を伝えていこうと、仲間たちと追悼コンサートを企画、十回続けるという目標を立てた。翌春、団員を募ってメモリアル合唱団を結成、毎週日曜日に練習を重ね、九七年一月十七日に初公演を行った。以降、コンサートが終わると合唱団を解散、春に新たに公募する形が定着した。
今回はヴェルディを選んだ。プロの指揮者や独唱のソリストも迎え、兵庫芸術文化センター管弦楽団が演奏する。
メンバーは神戸や明石、吹田など県内外に散らばり、それぞれの思いを胸に歌う。西宮市清瀬台の木村靖子さん(71)は、震災で圧死した義兄のためにと二回目から参加を続けてきた。練習中でも、下宿させてもらった大学時代のことや、義兄の笑顔が浮かび、涙があふれる。回を重ねる中で他の災害の被災者にも心を寄せるようになった。最後の公演には「生かされた命を大切にしたい。兄さん、残されたものを見守って」とのメッセージを込める。
岡崎さん自身は、震災で犠牲になった大学時代の後輩が心にいる。「亡くなった方々から勇気をいただいた。生かされたことを忘れないという気持ちを込めたい」と最終公演に臨む。
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