ゆであがったタコを手に語る樟陽介さん=明石市林3
ゆであがったタコを手に語る樟陽介さん=明石市林3

 水の中でしなやかに泳ぐ姿、ぷっくりとした吸盤、ゆでられてきれいに丸まった足-。水産加工の金楠水産(明石市林)の4代目、樟(くす)陽介さん(38)が企画したタコのグラビア写真集「たこ88」がこの夏発売された。88ページにわたって、水揚げされてからゆでられるまでのタコのさまざまな姿、部位を収めた。樟さんは「タコの艶やかさ、色っぽさ、どれだけ美しい生き物なのか知ってほしい」と話す。(赤松沙和)

 「一番の願いはおいしく食べてもらうこと」。ゆでた明石ダコを販売する同社。日々、命を扱いそのおいしさを追求する中で、消費者の知らない明石のタコの美しさを知ってもらいたいと思い写真集を企画した。「普段食べているものがどうやって食卓に並んでいるのか、理解して食べると味の感じ方も違うはず。写真集で明石のタコをよりおいしく食べる準備をしてもらいたい」と力を込める。

 水揚げされたばかりのタコは墨抜きをした後、内臓を取って塩もみをする。余分な水分を抜きうまみを凝縮させるため、タコの大きさに合わせて塩の量やもみ込む時間を手作業で調節。ゆで釜に入れたタコは、かき混ぜながら最適なゆで加減を見極め、氷水に入れると色鮮やかな身が引き締まりきれいに足がくるんとなったゆでダコが完成する。「食べるアートです」とタコを見てほほ笑む樟さん。「美しさはおいしさにつながっている。タコってすてきやなと思ってもらえればうれしい」と話す。