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 日本維新の会に所属する兵庫県内の地方議員が、一般社団法人の理事に就くことで国民健康保険料の支払いを逃れ、割安な社会保険に切り替えていた疑いがあると大阪府議会で指摘された。これを受け、吉村洋文代表は事実関係の調査を指示。指摘した府議によると、法人の入会案内には「社会保険に加入して節約できる」と明記されているという。

 国保は個人事業主やフリーランスなどが対象。保険料は前年の所得などを基に計算され、全額自己負担する。一方、社保は会社員などが加入し、保険料は事業者と折半する。給与、報酬に基づいて金額が決まるため、給与、報酬が低ければ支払いは安くなる。社保に入れば、国保の保険料を払う必要はなくなる。

 問題になった社団法人は京都市に事務所を置く。理事が他の仕事で一定の所得を得ていても、理事としての報酬を低く設定することで社会保険料の支払いを低く抑えているのではないかと指摘された。12月15日時点の登記簿によると、この法人には700人を超える理事がいる。

 登記簿などによると、疑いを指摘された議員は兵庫県議2人、神戸市議1人、尼崎市議1人の計4人。神戸新聞の取材にいずれも本人と認め、国保の支払いを逃れる意図はなかったと答えた。問題が取り沙汰されたため、既に法人の理事を辞任したという。

 議員の一人は、勉強会に参加するなど人脈づくりのために入ったと説明。主な業務はなく、月2回、アンケートに答えていたという。会費として月数万円を支払い、報酬1万円程度を受け取っていたと明かした。「(国保の支払い逃れの認識は)全くなかった。言われてみれば、そういう見方をされかねないと反省している」と述べた。

 疑いが持ち上がったのは12月10日の大阪府議会で、自民党の占部走馬府議が「法人負担分の保険料を協力金などの名目で(理事から)徴収し、その資金で最低額の社会保険に加入させるという仕組みだ」と指摘していた。(斉藤正志、岡西篤志)