神戸市西区で母親(57)を監禁し殴ったなどとして22日、長女らきょうだい4人が逮捕され、近くの草むらで6歳男児の遺体が見つかった事件。家族の自宅からは怒鳴り声や泣き声が日常的に響いていたといい、男児を知る人たちは「いたたまれない」などと悲しんだ。
兵庫県警によると、母親に対する監禁と傷害容疑で逮捕されたのは、いずれも無職の長女(34)▽次男(32)▽次女(30)▽三女(30)。遺体で見つかったのは、長女の長男(6)。全員が同区の集合住宅に同居していたとみられる。
近所の住民らによると、この集合住宅には、もともと母親と次女、三女の3人が住んでいた。妊娠していた長女が数年前から、次男が昨年から一緒に住むようになったという。
「男児は礼儀正しく、あいさつもできた」と顔見知りの女性(74)。ただ、日頃から男児の泣き声がよく聞こえてきたといい「次男が家に来てから、男児は保育園に行かなくなった。もうひと月以上見ていなかった」と話した。
近所の男性(25)は5月上旬に男児が2階のベランダから「助けて。中に入れない」と泣き叫んでいるところを目撃したという。
男児と長女が保育園の同級生だったという母親(30)は「2年前の10月に運動会があり、『ママ~』と話しかける男児を見た。お母さんも写真や動画を撮って楽しそうにしていたので、仲が良い親子だと思った。保育園に来る時も、2人で自転車や歩いて来ていた」と振り返る。ただ、運動会の後はあまり男児の姿を園内で見かけなかったといい、「すごく複雑な気持ちで、考えが追いつかない。かわいそうだ」と話した。
2年ほど前、長女と男児が一緒に登園する姿を見たという70代の男性は「お母さんはすごく厳しい言葉で『はよせんか』と子どもに向かって怒鳴っていた。子どもはうつむきながら、とぼとぼ後ろを付いていくだけ。いたたまれない気持ちになった」と顔をしかめた。
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事件発覚から一夜明けた23日、6人が住んでいた集合住宅周辺では、県警の捜査員らがブルーシートを張り、複数のケースなどを運び込む場面もあった。あたりは住宅街で、自転車に乗って登校する子どもたちを見守る大人の姿もあった。