神戸市西区の草むらで22日夕、近くに住む穂坂修ちゃん(6)の遺体が見つかった事件で、発覚のきっかけとなったのはその2日前、同居する祖母(57)が、自宅から約7キロ離れた同市垂水区の路上で保護されたことだった。現場に居合わせ、兵庫県警に通報した男性が神戸新聞社の取材に応じ、当時の状況を振り返った。
近くに住む男性(66)。
20日午後11時すぎ、買い物を終えて帰宅中の道ばたで、1人きりで車いすに乗りうつむく女性を見かけた。街灯に照らされた薄暗がりの周辺には、女性の所持品とみられるペットボトルやノートが転がっていた。
「普通ではない」と感じた男性は「大丈夫ですか。こんな遅い時間に1人だと危ないですよ」と声を掛けた。「家、近いから大丈夫」という弱々しい声が返ってきた。
女性の顔からは生気が感じられず、茶色いあざがあった。車いすから立ち上がり、前に踏み出そうとしたが、2、3歩で膝から崩れ落ちたという。
様子を見た男性は「車いすの女性が1人でいるので保護してもらえませんか」と110番し、県警垂水署員に引き渡した。この女性が修ちゃんの祖母、穂坂由美子さんだった。顔のほか、背中も負傷していたが、命に別条はないとされる。
県警は、由美子さんに対する傷害などの容疑で、修ちゃんの母、沙喜容疑者(34)や叔父の大地容疑者(32)らきょうだい4人を逮捕し、捜査を進める過程で修ちゃんの遺体が見つかった。
調べに対し、由美子さんは「家族がいないときに自宅を抜け出してきた」などと説明した。周辺住民によると、由美子さんは保護された現場近くの市営住宅で20年ほど前、きょうだいらと暮らしていたという。
報道を見て修ちゃんの遺体が見つかったことを知った男性は、自身の4歳の孫と姿を重ねた。「亡くなる前に発覚していれば、と残念でならない。安らかに天国に行ってほしいという思いで仏壇に手を合わせている」と声を震わせた。(安藤真子)