兵庫県加古川市の民家で昨年7月、住人の高齢女性を絞殺し、現金などを盗んだとして殺人と窃盗の罪に問われた住所不定、無職の男(32)に対する裁判員裁判の初公判が17日、神戸地裁姫路支部(栗原保裁判長)であり、男は起訴内容を認めた。
起訴状によると、男は2022年7月27日午後3時15分ごろ、加古川市尾上町の民家に侵入し、この家に住む女性=当時(87)=の首を腕で絞めて殺害した後、缶ビール1本と現金約600円を盗んだとされる。
検察側は冒頭陳述で、かつての勤務先の社長から叱責されたり金銭を管理されたりしたストレスが犯行の背景にあったと説明。「動機が短絡的かつ自己中心的。殺害後に窃盗までしているのは悪質だ」などと指摘した。弁護側は「自首をしており、盗んだ金銭も一部だ」と主張した。
被告人質問で男は「社長とのトラブルで追い込まれていた。誰かを殺して死刑になり、楽になりたかった」と動機について述べた。さらに「殺害後はとんでもないことをしてしまった、とぼうぜんとし、窃盗をした状況は記憶が曖昧だ」などと振り返った。