5日午前2時50分ごろ、豊岡市城崎町湯島の城崎温泉にある旅館「千年の湯 権左衛門」から出火、火は周辺に燃え広がり、土産物店など計6棟を焼いた。出火当時、旅館には宿泊客が43人おり、避難して無事。旅館従業員の60代男性が煙を吸って救急搬送されたが、意識はあるという。
豊岡市消防本部などによると、旅館は5階建てと2階建て部分があり、延べ床面積は約2431平方メートル。周辺は住宅や旅館などが密集しており、火は周辺の4棟にも延焼。約5時間半後の午前8時20分に消し止められた。
火事の影響で、近接する旅館の宿泊客らも、浴衣に上着を羽織るなどして、近くの公共施設や旅館などに避難。大谿川(おおたにがわ)に面した建物が燃え、住民や宿泊客らは川の対岸から消火活動を見守った。
延焼した建物に住む70代女性は「寝ていたときに臭いで火事に気付き、夫らと外に逃げた」と消火作業を見守った。出火した旅館の2軒隣の旅館に宿泊していたという明石市の男性会社員(38)は「午前3時ごろ、客室のドアをどんどんとたたく音で目が覚め、避難を促された。まずは着の身着のまま避難し、荷物はいったん取りに戻れたが、まさかの事態に驚いている」と話していた。
火災の影響で、周辺は一時停電し、外湯の一つ「一の湯」が臨時休業した。