神戸市と神戸新聞社などは23日、阪神・淡路大震災から30年の節目となる2025年秋と27年の2期に分け、「大ゴッホ展」を神戸市立博物館(同市中央区京町)で開催すると発表した。神戸を皮切りに、東日本大震災から15年となる26年に福島県を、さらに東京都を巡回する。
フィンセント・ファン・ゴッホのコレクションで世界的に有名なオランダのクレラー・ミュラー美術館が所蔵する各60点で構成。初期から晩年期を過ごした南仏・アルル地方に至るまでの変遷をたどる前期展では、「自画像」のほか、夜の街角を描いた代表作「夜のカフェテラス」が20年ぶりに来日。晩年期の作品に焦点を当てる後期展には、オランダの国宝と称され、国外に出ることが極めてまれな「アルルの跳ね橋」を69年ぶりに日本で展示する方向で調整を進めている。
神戸市役所で開かれた共同記者会見には、主催者を代表し、久元喜造神戸市長や神戸新聞社の高梨柳太郎社長らが出席した。久元市長は、震災から30年となる年に開催する意義を「震災の後、人々は芸術に大変勇気づけられた。復興を果たし、グローバル貢献都市・神戸として歩みを進める中で、本物の芸術に触れる機会を広く提供すること」と説明。さらに「近隣地域のみならず、多くの人に来てもらい、神戸から福島へと復興のたすきを渡すことができれば」と抱負を述べた。
会見ではミュラー美術館のベンノ・テンペル館長のビデオレターが上映され、「大災害に見舞われた全ての人々にお見舞いを申し上げるとともに、たぐいまれなる復興を遂げた市民の皆さまを心よりたたえたい」とメッセージが送られた。
神戸での前期展は25年9月20日から26年2月1日までの113日間を予定。26年2~5月には福島県立美術館、同5~8月には上野の森美術館(東京都)で展示が予定されている。チケットの発売時期や方法は今後改めて発表する。(津田和納、安藤真子)