神戸、阪神間で活躍するトマティーン=神戸市灘区岩屋中町4、灘Ohana保育園
神戸、阪神間で活躍するトマティーン=神戸市灘区岩屋中町4、灘Ohana保育園

 野菜を中心に食べ物の大切さを伝える「トマト刑事トマティーン」が、兵庫県で活躍している。主に大阪府内のイベントに出演していたが、昨年から神戸、阪神間に活動の場を拡大した。子どもたちは本家のヒーローさながらのアクションに興味津々。正義の味方の言葉には素直に耳を傾けるとあって、保護者らの間でも人気がじわりと広がっている。(千葉翔大)

■正体は市場で働く…

 「日本は食べ物を捨てる量が世界的にトップクラスらしい。でも世界には満足にご飯を食べられない人もいる。ご飯を食べる時は必ず『いただきます』と心を込めよう!」

 神戸市灘区の「灘Ohana保育園」で11月下旬、0~5歳児の約80人にトマティーンが呼びかけると、子どもたちは「はぁい!」と応じた。

 この日はトマティーンに加え、兄の「トマティーンロズ」、仲間の「バナナ~ン」が登場した。

 ステージの物語は、ロズが誤って「悪魔のトマト」を食べてしまう場面から始まる。悪魔となったロズを救うためバナナ~ンが、ホウレンソウやレンコンなど野菜の名前をもじった技を繰り出す。トマティーンは「ホウレンソウを食べると風邪をひかない強い体になる」などと栄養価を説明。最後はトマティーンの奥義「リコピンフラッシュ」を受けたロズが、優しいヒーローに戻る。

 ステージにくぎ付けだった年長クラスの園児(5)は「ご飯をいっぱい食べる」。同じく年長の別の園児(5)は「野菜大好き」とはにかんだ。

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 トマティーンを演じる森猛さん(40)=大阪市=は、同市の市場で働きながら年間30~40件の公演をこなす。

 もともとテレビ番組の「仮面ライダー」シリーズが好きだった。2016年の「ハロウィーン」に合わせてライダーの仮装をしようと考えたが、当時は青果関係の仕事でトマトを選別しており、真っ赤な果実とライダーを融合したオリジナルヒーローの着想を得た。

 実際になりきって街へ出てみると、子どもから記念撮影を求められた。さらに「ちゃんと野菜を食べる」と言ってくれる。「ヒーローになれば良い影響を与えられる。好きなことで社会貢献できるなら」と思い、トマティーンを続けようと決めた。

 ただイベントの主催者に出演を働きかけても、知名度の低さなどから門前払いが続いた。トマティーンにはなりたいが、ハロウィーンでもないのにいきなり街中で変身しては周囲を驚かせる。どうすればアピールできるのかと考え、真っ赤な衣装で各地のマラソン大会に出場した。

 地域の祭りや警察署の啓発キャンペーン、トマト関連のイベント…。19年ごろから少しずつ、出演依頼が舞い込んできた。

 新型コロナウイルスの感染拡大により催しが相次ぎ中止になった時期には週1回、教室に通って本格的なアクションを学んだ。「野菜ソムリエ」の資格も取得した。

 昨年2月、トレーニングジム「ヘラクライズフィットネス」(神戸市灘区)代表の浜田力也さん(34)と知り合い、兵庫県内に進出。浜田さんは県内での営業活動を担いつつ、器械体操に取り組んだ経験からショーにも出演する。

 トマティーンが誕生して来年で10年。公演は計約150回に上った。

 森さんは「子どもたちが食事の好き嫌いをなくし、食べ物を大切にしてくれるなら活動にも意味がある」と話す。子どもの健やかな成長こそが、トマティーンたちの活力になっている。