地域経済について語る神河町商工会の片岡仁会長=兵庫県神河町中村、同町商工会館
地域経済について語る神河町商工会の片岡仁会長=兵庫県神河町中村、同町商工会館

 -神河町の経済の現状や課題は。

 「町は観光に力を入れ、峰山高原のスキー場やススキで知られる砥峰高原、日本遺産『銀の馬車道・鉱石の道』を中心に年70万人近い人が訪れている。ただ日帰り客が多いために滞在時間が短く、地域にお金を落としてもらう仕組みが不十分だ」

 -どのように対応する。

 「2023年度、観光客向けに町内で使える電子商品券『かみかわPay』を試験的に発行した。宿泊しながら長く滞在してもらう周遊ルートもつくりたい。町のふるさと納税の寄付額は伸び悩み、県内市町で下位にとどまる。特産のユズやお茶、自然薯の加工品をはじめとした新商品の開発を支援して、返礼品の種類を増やすことが大事になる」

 -人口は県内市町最少で1万人を切った。

 「商工会の会員も減っている。まずは仕事が維持できるよう個別にしっかり支援していく。創業を促すセミナーも年1回開いており、伴走型の支援にも力を入れている」

 「08年の神崎、大河内の両町商工会合併後も本所と支所の2カ所で活動してきたが、24年度中に統合する。一本化して、少ない職員でもしっかり支援できる体制に整える」

 -将来に向けては。

 「昨秋、商工祭で小中学生向けの職業体験会を初めて開いた。地元企業の魅力を伝え、将来の雇用につながってほしい。若い人に町内で商売をしてもらえるように、若手の会員と町職員らとの意見交換の場を設ける。空き家を活用した創業支援などの施策を考えていきたい」(聞き手・大島光貴)

【かたおか・ひとし】名古屋工業大卒。80年片岡建設、84年専務、92年社長。18年神河町商工会副会長、森本守雄前会長の死去に伴い、22年11月から会長。趣味は副業のブドウ栽培。座右の銘は「継続は力なり」。神河町出身、在住。

〈データ〉

 所在地 兵庫県神河町中村29

 設立 2008年4月、旧神崎町商工会と旧大河内町商工会が合併

 会員数 392(23年3月末時点)

 副会長

  松本五男・粟賀自動車サービス会長

  桐月秀樹・吉富瓦産業取締役

 製造品出荷額等(神河町、2020年) 272億5922万円=兵庫県内41市町中36位

 町内総生産(神河町、2020年度名目値) 344億4000万円=兵庫県内41市町中41位

 URL https://www.kamikawa-scic.jp/