兵庫県立農林水産技術総合センター(加西市)は、収穫量が多く、病害に強い黒大豆「丹波黒」の新品種の育成に成功した。丹波黒の収穫量は近年、温暖化など気候変動の影響で以前の7~8割に減っているといい、同センターが新品種の育成を急いでいた。主産地の丹波篠山市を中心に種子の提供を増やし、2026年以降、県内全域に拡大させたい考え。(西井由比子)
新品種は「兵系黒6号」と命名。昨年3月、同市とJA丹波ささやま(丹波篠山市)とともに農林水産省へ品種登録を出願した。
丹波黒は、県内全域の約1500ヘクタールで生産される。大半の畑で、優良3系統と呼ばれる「兵系黒3号」「川北」「波部黒」の3種が栽培されているが、11年以降は収穫量が減少。高温、多雨などの影響とみられ、12年から新品種の育成に取りかかった。
同市内で長年栽培されている在来系統の55種を収集し、センターや市内の畑で栽培。11年かけて収穫量や病害への耐性、品質などで優れる株を絞り込み、1系統を選んだ。
収穫量は優良3系統の1・5倍に上る。サイズは、正月のおせち料理に使われる直径が10・1ミリ以上の「2L」以上の割合が80%以上と高い。茎が立ち枯れする茎疫病や、感染すると収穫量が減るダイズモザイクウイルス(SMV)といった病害にも強く、官能評価による食味は同等という。
昨年、同JAなどが生産者に種子の配布を始め、同市の10ヘクタールで栽培された。他の丹波黒と同じく6月初旬に種をまき、豆が熟した後の11月下旬~12月半ばに収穫する。昨年夏は異常高温だったものの、優良3系統を上回る収穫量を確保できたという。24年は30~40ヘクタールで栽培する予定。
新品種の育成を担当した同センター農産園芸部の杉本琢真主席研究員は「近年の気候に最も適した品種。多くの生産者に栽培してもらいたい」としている。
























