2月15日のヴィッセル神戸開幕戦に駆け付けた久保駿貴さん=神戸市兵庫区御崎町1、ノエビアスタジアム神戸((C)VISSEL KOBE)
2月15日のヴィッセル神戸開幕戦に駆け付けた久保駿貴さん=神戸市兵庫区御崎町1、ノエビアスタジアム神戸((C)VISSEL KOBE)

 川崎重工業、アシックス、楽天グループ…。サッカーJリーグ1部(J1)のヴィッセル神戸を支えるスポンサー企業の中に、今年から20代の創業社長が率いる企業が名を連ねた。学生向け就職活動支援サービスを手がける「ABABA(アババ)」(大阪府吹田市)。オフィシャルパートナー契約を結び、「一つの夢がかなった」と1997年生まれの社長は言う。なぜって?「物心ついた頃からヴィッセルファンなんですよ」(大盛周平)

カズと握手で夢中に。チームとトモニ成長

 明石市出身の久保駿貴(しゅんき)さん(27)。岡山大の学生時代、採用試験で最終面接まで進んだのに不採用になった友人の姿を見たことが、起業のきっかけとなった。採用不採用の「結果」だけでなく、就職活動の「過程」も評価されるように-と、在学中の2020年にアババを起業した。

 「○○さまのこれからのご活躍を心よりお祈り申し上げます」。不採用を通知するメールの最後につづられるこの一文。「お祈りメール」と呼ばれる。アババのアプリに登録し、最終面接後に届いたお祈りメールを添付して送信すれば、別の企業からスカウトがくる仕組みを考案した。経営関連のさまざまな賞に輝き、雑誌「フォーブスジャパン」に「世界を変える30歳未満の30人」として取り上げられるなど、若手経営者として注目を集めている。

 そんな久保さんの「いつもそばにいた」のがヴィッセル神戸だった。記憶は幼稚園の年少時にさかのぼる。イベントで、現ノエビアスタジアム神戸のピッチに下りて走り回り、当時チームに在籍していた三浦知良選手(58)と握手した。鮮烈な経験だったという。

 以来ファンになり、「クラブの地域への思い、ファンのクラブへの思いは唯一無二」と確信した。J2陥落時には激しくショックを受け、世界的スター選手の入団には歓喜した。大学生になると、スタジアムで試合の進行補助などをするアルバイトに就いた。