今後の戦略を語る池田泉州銀行の阪口広一頭取=大阪市北区茶屋町、同行本店
今後の戦略を語る池田泉州銀行の阪口広一頭取=大阪市北区茶屋町、同行本店

 大阪と神戸・阪神間を地盤とする地方銀行、池田泉州銀行(大阪市)の阪口広一頭取(60)が神戸新聞社のインタビューに応じ、企業の合併・買収(M&A)や事業承継を手がける子会社2社を、新たに立ち上げると明らかにした。経営者の高齢化によるニーズ増加に対応する。神戸市東部や西宮市を「攻めるエリア」と位置づけ、個人営業を強化する意向も示した。(横田良平)

 M&Aを仲介する専門会社と、中小企業の事業承継や再生に向けた資金を供給する投資会社を新設する。現在は同様の業務を銀行本体で手がけている。2社は外部人材の採用も進め、人員を現在の2・5倍の50人規模に増やす計画だ。

 6月に頭取に就いた阪口氏は「人口減少と経済の縮小で、M&Aや事業再生の相談が増えている。スピード感を持って対応する」と、狙いを説明した。M&Aの成約件数は2023年度以降、年間30~40件と従来の2倍以上に増えており、この傾向は続くとみる。

 M&Aの仲介会社が乱立する中でも、「銀行らしく顧客と丁寧にコミュニケーションを取って寄り添い、納得感のある承継を手がける。従業員や取引先を大切にし、地域経済の成長に役立ちたい」と話した。

 同行は兵庫県内に30カ所の拠点がある。個人営業の強化は「シェア拡大へ一つの鍵」と述べ、神戸・阪神間の富裕層に金融サービス以外の提案を図るとした。金利のある世界となったが「金利だけでは(顧客に)受け入れられない。個々の生活状況に合わせた手づくりの提案こそが支持される」とし、顧客情報を支店間で共有する取り組みも進める。

■阪口広一(さかぐち・ひろひと)立命館大経営学部卒。88年池田銀行(現池田泉州銀行)。執行役員阪神地区兼兵庫地区本部長、池田泉州ホールディングス(HD)取締役などを経て25年6月から同HD社長兼池田泉州銀行頭取。大阪市出身。