兵庫県が開発し、昨秋に一般販売を始めたコメの新品種「コ・ノ・ホ・シ」を使って東播磨独自のブランド米を作ろうと、JA兵庫南は、地元の神戸製鋼所加古川製鉄所(加古川市)で出た副産物「鉄鋼スラグ」を土壌改良に活用する試みを始めた。東播磨で盛んに活用されている緑肥(肥料用作物)の「ヘアリーベッチ」を併用。農薬の使用回数や化学肥料の窒素成分量を50%以下に減らした「特別栽培米」を作る計画だ。(藤森恵一郎)
県内の水田は、イネの成育に重要な役割を果たす鉄やケイ酸が不足しており、安定した収量や品質を確保するため、土づくりが必要になる。鉄はイネに有害な硫化水素を減らして根張りを良くし、ケイ酸は光合成の促進や高温ストレス緩和の効果があるとされる。
鉄鋼スラグは鉄鉱石から鋼を作る工程で、鉄以外の物質が石灰と溶融・結合して出る副産物。ケイ酸や鉄などを含むため、農業用肥料としても以前から広く利用されており、資源循環や環境負荷低減の観点から改めて注目されている。JA兵庫南は2023年から、同製鉄所で出た鉄鋼スラグを原料とする肥料を農家に販売している。
一方、ヘアリーベッチはマメ科の植物で、土にすき込むと水稲の養分となる窒素を多く供給でき、化学肥料を削減できる。
同JAは明石市、加古川市、高砂市、稲美町、播磨町を管轄しており、管内にはコシヒカリを使った稲美町のブランド米「万葉の香」などがある。ただ、同JAとしての統一ブランドはないため、県の加古川農林水産振興事務所や加古川農業改良普及センター、加古川市、神鋼などと連携し、ブランド化に向けた取り組みを始めた。
今年は、同市の農事組合法人志方東営農組合とみやまえ営農の田んぼ計5ヘクタールで試験栽培する。協力農家を増やしながら27年は10ヘクタール、28年は20ヘクタールに拡大する計画で、栽培技術の確立を目指す。試験期間中、地元の学校給食への提供に向けて行政と調整する。約3年後からは、新しいブランド米として主に直売所での販売を始めたいという。
同JAの野村隆幸組合長は「コメの価格が下がってきている中、コストダウンが大きな課題。その面でも、鉄鋼スラグとヘアリーベッチの活用はメリットがある」と説明。「東播磨はコ・ノ・ホ・シの一大産地。地域特性を生かしブランド力を強化したい」と意気込んだ。
























