13日投開票の沖縄県知事選を巡り、交流サイト(SNS)やユーチューブへの投稿が過熱している。地元紙の琉球新報によると、知事選の関連動画の再生回数は5千万回を超えた一方、再生上位で県内発信と確認できた動画はゼロ。X(旧ツイッター)の投稿も約9割が県外からで、真偽不明の情報や中傷動画も拡散している。同様の現象は、2024年の兵庫県知事選や25年の宮城県知事選でも確認されている。
■地元2紙はファクトチェック実施
琉球新報は先月27日の告示後1週間の間に投稿されたユーチューブの動画2871本を分析。再生数上位30本のうち、公開データで発信元を確認できた18本(6割)は全て沖縄県外からの投稿だった。残り12本も過去の投稿内容から県外の可能性が高く、地元発信と確認できる動画はなかった。上位30本で全体の再生数(約5020万回)の約35%を占め、うち20本は現職に否定的な内容だった。
神戸新聞が調べたところ、この上位の中に、兵庫県知事選でも多数の動画を投稿していたアカウントが複数含まれていた。
沖縄県知事選関連で再生数1位(告示後1週間で約490万回)の「おみそちゃんねる【世界どん深闇ニュース】」は、動画内で沖縄の基地反対運動を批判。兵庫県知事選前には「姫路港の改革に手をつけようとした県知事は利権者の激怒を買い、マスメディアから総たたきにあっている」と不正確な情報を発信した。兵庫県絡みで30本以上の動画を上げ、いずれも10万回以上再生されている。
再生数2位(同約246万回)は、ジャーナリストの須田慎一郎氏らが出演する「真相深入り!虎ノ門ニュース」。兵庫県知事選前から多くの動画を配信しており、知事選で「二馬力選挙」を展開した立花孝志被告と対談する動画や、須田氏が応援演説に立つ動画を選挙期間中に上げていた。
選挙情報サイト「選挙ドットコム」の調査では、兵庫県知事選関連の動画の総再生回数は計1億8千万回を超えていた。数字を押し上げた背景としては、こうした県外インフルエンサーの存在も大きかった。
ユーザーローカル社のSNS分析ツール「ソーシャルインサイト」を使ってXの投稿状況(リポストを含む)も調べた。
「沖縄県知事選」は10日時点で約150万7千件の投稿があり、約9割が沖縄県外の発信だった。中には新人候補のポスター風の偽画像や現職を中傷するような動画もあり、人工知能(AI)を悪用したとみられるケースもあった。
一方、「兵庫県知事選」は投開票日を含め18日間の期間中に約74万1千件の投稿があり、約8割が兵庫県外発信。「宮城県知事選」は約19万6千件の投稿で、こちらも発信元の約8割が地元以外だった。
兵庫県知事選の期間中に神戸新聞が実施したアンケート(1991人回答)では、最も目にしたメディアとして「SNS」(21%)や「ユーチューブ」(19%)を挙げた人が計4割に達した。新聞・新聞サイトは32%だった。
沖縄県知事選は、元那覇市副市長の新人古謝(こじゃ)玄太氏と、現職玉城デニー氏による事実上の一騎打ちの構図で、ほかに新人4人が立候補している。
地元紙の琉球新報や沖縄タイムスは、真偽不明な情報に対するファクトチェックを実施。ネット動画やSNSの影響力が強まる中、収益目的などの県外インフルエンサーによって地元の論点がゆがめられるリスクへの対応が問われている。(前川茂之)























