■「救われる人必ずいる」執念の実用化
がんを破壊する-。社名がこの意味を持つ創薬ベンチャー、オンコリスバイオファーマ(東京)が8月、食道がんで世界初となるウイルス治療薬「テロメライシン」の販売を始めた。倒産危機、大手からの契約打ち切り…。研究開発拠点の一つを置く神戸・ポートアイランドで、創業者の浦田泰生社長(70)が感慨を口にした。「やっとここまで来た、長かった」。約20年の道のりをたどる。(末永陽子)
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実家が薬局だった浦田社長は、京都薬科大に進み、小野薬品工業や日本たばこ産業(JT)で研究者の道を歩んだ。JTのがんプロジェクトを通じ、重い副作用や手術後の生活で苦労する患者に接し、創薬への思いを強くした。
岡山大でウイルス治療の研究を進める藤原俊義教授らと出会い、起業を決意した。2004年に同大ベンチャーとして、研究者仲間と2人で起業した。「自宅のリビングを拠点にコピー機を買うことから始めた」と笑顔で振り返るが、そこから苦難の連続だった。
■死の谷
創薬の世界で、一つの新薬が実用化されるまで、10年以上の時間と1千億円超の資金を要するとされる。開発段階で資金繰りに行き詰まる「死の谷(デスバレー)」は深く、オンコリスも陥りかけた。
上場に向けて準備を進めていた08年、金融危機リーマン・ショックが発生。ベンチャーキャピタル約30社からの出資が止まった。























