西宮神社の恒例行事「福男選び」で境内を駆け抜ける参加者たち=西宮市社家町、西宮神社
西宮神社の恒例行事「福男選び」で境内を駆け抜ける参加者たち=西宮市社家町、西宮神社

 西宮神社(兵庫県西宮市社家町)で10日早朝、参拝一番乗りを目指す「開門神事福男選び」があり、約5千人が本殿までの参道を駆けた。一番福は尼崎市の高谷望巳さん(19)、二番福は鳥取市の山下慎之介さん(23)、三番福は西宮市の多田龍平さん(23)がいずれも初参加でつかんだ。走り終えた3人は「能登半島地震の被災者に福を届けたい」と願った。(地道優樹)

 前方からスタートできる「前列組」に入ろうと、同神社前には前日の9日夕から長い列ができた。一番前の男性は午前8時半から待機していたという。

 午後6時から友人と2人で並び始めた大阪市の本郷椋さん(25)は「何か称号がほしい」と初参加。「もし前列に入れたら、足がちぎれても走りますよ」と意気込んでいた。10日午前0時過ぎの抽選には1325人が参加し、216人が前列組に選ばれた。

 夜明け前の午前6時、表大門が開くと同時に、参加者は一斉に境内へなだれ込んだ。右に130度曲がる通称「てんびんカーブ」や、直線約100メートルの「福男道」を突破し、最前線に抜け出したのは4人。うち1人が本殿前の「魔物の角」で転倒し、最終的に高谷さんら3人が神職に抱き止められてゴールした。

 本殿では3人に認証状が授与され、詰めかけた参加者は「福男! 福男!」と連呼して祝福した。コロナ禍で中止されていた鏡開きも4年ぶりに行われ、3人は晴れやかな表情で参拝者らにお神酒を振る舞っていた。