市役所内には窓口の30分繰り上げを知らせるポスターが張られている=西宮市六湛寺町
市役所内には窓口の30分繰り上げを知らせるポスターが張られている=西宮市六湛寺町

 西宮市長選(22日告示、29日投開票)では、財政難に陥る市の立て直しが争点に浮上している。市は2024年度から5年間の財政改革を進めており、29年度には収入と支出の均衡を目指す。財政を圧迫する要因の一つとされる職員の人件費の削減にも着手し、こうした手法の是非も問われている。(堀内達成)

 市の財政は、阪神・淡路大震災の復興などで膨らんだ借金を返済しながらやりくりしてきたが、18年度以降は「実質単年度収支」が赤字基調となった。人件費や生活保護などの扶助費の増加が圧迫した。

 19年度には53億円の財政基金(貯金)を取り崩し、20年度も実質的な赤字となった。22年度は42億円を超える赤字になり、財政体質の改善が急務となった。

 市は23年度、このまま手を打たなければ年間40億円超の支出超過が続き、それを補う基金も底をつくとして財政改革の計画に着手。翌24年度から取り組みを始めた。

 改革は開始から約2年になるが、当初計画していた効果額を上回り、25年度も目標を達成する見込み。予想よりも税収などが大幅に上回っており、収支は改善しているという。

 人件費は財政を圧迫する要因の一つとされ、市によると、23年度は歳出に占める割合が18・7%で、全国の中核市62市の中で最も高い水準だった。

 市は人件費を抑えるため、給料表や手当てを見直し、採用の抑制などで職員数の削減を進めるほか、計画とは別で、昨年11月に閉庁時間を午後5時半から30分繰り上げた。

 人件費以外では、事務経費の削減や公立幼稚園・保育園の再編、各種事業の見直しなどで歳出を減らす一方、市有地の売却や市営墓地の公募促進などで歳入増も図ってきた。

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 こうした取り組みについて、既に市長選への立候補を表明した3人の態度を見てみたい。

 市長の石井登志郎氏(54)は市議会の答弁で「取り組みは着実に進んでいる」とし、計画期間内に収支均衡が図れる見通しだと強調。「(人件費などの)経常経費の削減のため、計画を着実に進める必要がある」としている。

 元市議の田中正剛氏(50)は政策発表の会見で、計画について「目先の収支改善に終始し、実効性に欠ける部分がある」と指摘。「計画を抜本的に見直し、市民にだけ負担を強いることのない改革を進める」などと述べ、さらに人件費を圧縮する考えも示した。

 障害者団体会長の畑本秀希氏(59)は取材に、人件費カットについて「職員のモチベーションを下げてまで必要とは思えない。福祉のまちを掲げて人口増を図るなど、歳入を増やす手段を模索したい」と話した。