加藤茂弘研究員
加藤茂弘研究員

 太く短い人生があれば、細く長い人生もあります。人生と似て、私たちが目にする火山の一生も二つのタイプに分けることができます。

 太く短い一生を送る火山は、数日から数年続く1回の噴火で山体が造られるもので、単成火山と呼ばれます。数万~数十万年かけて多数の噴火を繰り返して山体が造られる火山が、細く長く、あるいは太く長く活動する複成火山です。その代表が日本一の高さを誇る富士山です。

 中国地方にある二つの活火山、大山(だいせん)や三瓶山(さんべさん)も複成火山です。三瓶山は約10万年前から噴火を始め、約4万年前の大噴火でカルデラ湖が形成されました。約2万年前から、カルデラ湖の中心付近で粘り気の強い溶岩が何回も噴出し、男三瓶、女三瓶、子三瓶、孫三瓶などの孤立峰(溶岩円頂丘)が造られました。約3千~5千年前にも噴火を繰り返し、その時に噴出した軽石や火山灰は兵庫県北部にも降り積もりました。

 兵庫県北部の但馬地方には多くの単成火山が分布しています。地磁気逆転の歴史を解き明かすきっかけとなった玄武洞の岩石も、約160万年前に噴出した単成火山を造る溶岩です。

 豊岡市日高町の神鍋高原には、山頂部が平らな神鍋山や大机山(おおつくえやま)、ブリの魚体のように見えるブリ山など、七つの単成火山が集まり、神鍋火山群を造っています。最も新しい神鍋山は、約2万2千年前に噴出した溶岩流やスコリア(黒っぽい軽石)から造られ、山頂には火口が残されています。溶岩流は稲葉川(いなんばがわ)に沿って約15キロも流れ下り、円山川との合流点まで達しました。

 但馬地方の単成火山は、山体がすべて残されている場合でも小山ほどの大きさにすぎません。古い火山では、山体が全て侵食で失われてしまい、溶岩流が一部だけ残されていることが普通です。

 それであっても、玄武洞や神鍋山などの溶岩は江戸時代から石材として利用され、山間にあった上佐野火山の平らな溶岩台地は但馬空港の立地に役立ちました。太く短く活動し、小さな山体しか持たない単成火山であっても、私たちの生活に大きな恵みを与えてくれているのです。