30年ぶりに5人が立候補した兵庫11区のポスター掲示板=姫路市本町(撮影・辰巳直之)
30年ぶりに5人が立候補した兵庫11区のポスター掲示板=姫路市本町(撮影・辰巳直之)

 8日投開票の衆院選で、30年ぶりに5人が立候補した兵庫11区(旧姫路市)に注目が集まっている。ベテランの前職が引退し、後任争いを制した自民党新人、日本維新の会元職の与党勢と、国民民主、共産、参政党の野党勢の新人が激しい論戦を展開する。一方、立憲民主党と公明党による新党「中道改革連合」の候補者は不在。宙に浮く中道票の行方が当落の鍵を握りそうだ。

 自民の公認候補を巡っては、引退を表明した松本剛明元総務相(66)が妻孝子氏(66)を後継指名。姫路市副市長だった山田基靖氏(43)、県議の戸井田祐輔氏(43)も名乗りを上げた。党県連は解散3日前の1月20日、選挙対策委員会を開き、3人と面接したが一本化できず、全員を党本部に公認申請した。

 その直前、A4判2枚の「上申書」が県連に提出された。送り主は党姫路市支部。「地元の意向を十分に踏まえない一方的な後継指名」と松本氏の対応を批判した上で、市議団(7人)の大半が支持する山田氏を「推薦する」と記した。

 「上申書は高市総理にも送った」と同支部関係者。「公認は党本部の選挙対策本部会議でも決まらず、最後は『総理一任』で決まったと聞いた」と明かした。結果、山田氏が公認候補に選ばれた。

 一方の松本氏陣営。孝子氏は夫の政策担当秘書を務めるなど長年、議員活動を支えてきたが「年齢的なこともあり、ワンポイントリリーフと見られたのだろう」と受け止めた。

 松本氏は「松本党」とも呼ばれる個人票を築き、その数は「5万」ともされる。後任の山田氏ら陣営は「思いを引き継ぐ」として票の引き留めに注力する。

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 11区を5人で争うのは、松本氏が無所属新人で初挑戦した1996年以来だ。

 維新元職の住吉寛紀氏(41)は前回、前々回の衆院選で「反松本」の受け皿となった。党所属議員による「国保逃れ」問題で逆風のさなかにあるが、陣営は与党のアクセル役を強調しながら「自民のような後継者争いとは無縁の政党。しがらみのなさを訴える」と支持拡大に力を入れる。

 国民新人の中原立貴氏(35)は11区で初の党公認候補。中道が不在のため、連合からともに支援を受ける立民票を固めつつ、「手取りを増やす」との党の看板政策で比例票の掘り起こしにもつなげたい考えだ。

 共産新人の苦瓜一成氏(72)は解散の妥当性を問うなど政権批判票の取り込みを急ぐ。参政新人の山下聖氏(41)の陣営は「松本氏の票の全てが山田氏には流れない」とみて、保守票などに期待する。

 当落を左右しそうなのが約2万ともされる公明票の行方だ。党関係者によると、1月末に党本部のオンライン会議があり、地方議員らに各選挙区の中道候補を全面的に支援するよう「号令」がかかったという。

 一方、兵庫11区をはじめ候補者不在の選挙区については方針が示されなかった。党関係者は「自主投票ということ。他に決まっていることは何もない」。(衆院選取材班)

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