「人と親しくなれません」「友だちがいません」-。生きづらさについてみなさんと考える「生きるのヘタ会?」には、こうした声が多く寄せられます。10月のテーマは「孤独」。兵庫県のパート女性、コスモスさん(50代)も「友だちも知り合いも少なく、家にいることが多いです。このままさみしい人生を過ごすのかな、と思うとつらいです」と打ち明けます。
-孤独を感じるのは?
「商店通りとか人が多いところに1人で行くと、みんなが楽しそうに見えて、自分がすごく惨めに思え、家に飛んで帰ります。世界から『ぽつん』と置いて行かれた感じ。家ではとりあえずテレビをつけます」
「お見合い結婚だった主人は、3年前に病気で亡くなりました。今は娘と2人暮らし。ただ、娘は今年中に家を出て、新しい生活を始めるので、私は1人暮らしになります。友だちは…自分で友だちだと思っている人は2人いますが、失いたくないと思うあまりとても気を使い、誘うのもずいぶん悩みます」
-職場では?
「話しかけられたら返事はするけれど、自分から話しかけるのは、よっぽどのことがないとしません。私、人と接する時、常に緊張しているんです。バリアーを張っている感じ。これ以上、傷つきたくなくて、防御しているんだと思います」
-傷つきたくない?
「子どもの頃、家族仲が悪く、ギスギスしていました。両親の口げんかと、きょうだいの誰かが怒られている記憶しかありません。楽しい思い出は、全然浮かびません」
「ほとんど人に言っていませんが…虐待を受けていました。『出て行け』と家を追い出されたり、たたかれたり、髪の毛をひっぱられたり。冬に水をかけられたきょうだいもいました。そんなんだから、学校でも人とどう接していいか分からなかったです。笑えないし、気持ちが萎縮してしまう。楽しそうな同級生を見て、1人だけ違うと思っていました」
-大人になってからは?
「頭の片隅に常に母親の顔があるんです。怒ったような顔とか。だから気持ちが穏やかにならないし、今も自分に自信が持てません。昨日のことは忘れても、子どもの頃のことは鮮明に思い出すんですよね。それで、バリアーを張ってしまう。子どもの頃の経験がここまで尾を引くなんて…」
-これから先は?
「新たに友だちをつくる勇気はなかなか持てないけれど、一度きりの人生がこのままなのも嫌だなと、葛藤します。ぎこちない笑顔でも笑った方がいいかな、と考えたりしています」(聞き手・中島摩子)