今回は若者の吃音をテーマに取材しました。子どものときから吃音があり、中高生時代は同級生らの反応に悩んだという神戸常盤大学2年の小溝幸音さん(19)=淡路市=は、周囲の理解を得ることで考え方が前向きになったそうです。自身の経験や教師になる夢を話してくれました。
-吃音を意識したのは。
「小学校の頃です。例えば授業の本読みで、人前に立つと連発(『あ、あ、あ』と詰まる)になり、言葉が出にくくなりました。ただ、当時はそれほど気にしていませんでした」
「重荷に感じ始めたのは中高生時代。最初は自己紹介の作文で吃音のことも発表しましたが、周囲に口調をまねされる経験などが重なって、だんだんと『嫌だな』と思うように。親しい友達とは詰まらずにしゃべれるんですが、緊張する場面を避けたくて、発表回数は減りました。家族や友達は普通に接してくれてありがたかったのですが、『なるべく前に出ないように』と考えがちでした」
-大学では小学校教員を目指して学んでいます。
「子どもが好きで、高校の部活の先生に勧められたのがきっかけ。吃音当事者として、いろんな特性のある人たちを支えたいという思いも出てきました。『吃音のある自分が授業をできるだろうか』と不安を感じることもありますが、前向きになれたのは大学での出会いが大きいです」
-どんな転機が。
「入学してすぐ、同級生の1人が自然な感じで『話しにくいの?』と気遣ってくれました。なんだかうれしくて、後に吃音のことも伝えてからは互いに何でも話し合える仲に。理解した上で普通に接してくれる人がいることで、吃音は避けなくていいんだと思えるようになったんです」
「私は言葉に詰まったとき、相手には話を遮らずに待ってほしい。逆に、察して言葉を先読みしてもらいたい人もいるそうです。当事者が吃音を隠さず、その人に合わせた理解が広まる社会になればいいな」
-5月、吃音の当事者が模擬授業を行う取り組み「号令に時間がかかる教室」にも挑戦しましたね。
「自分から応募して、先輩の模擬授業を手伝い、現役教師の方と吃音をテーマに語り合う場もありました。同じ立場で教師を目指す先輩を見て、不安が大きく減りました。将来は地元で先生に。夢をかなえたいです」(聞き手・岩崎昂志)